3月24日(日) 喜多能楽堂
『八島』 シテ(前:漁翁、後:源義経の霊)谷大作 ワキ(旅僧)福王和幸 アイ(屋島の浦人)中村修一
面の紹介無し。多分、前:尉もの 後:中将もの
(休憩)
『八句連歌』 シテ(貧者)野村萬斎 アド(何某)深田博治
仕舞 誓願寺 中村邦夫
(休憩)
『海人』 シテ(前:海女 後:龍女)大村定 子方(藤原房前)大村稔生 ワキ(房前の従者)福王知登 アイ(志度の浦人)野村太一郎
面の紹介無し。多分、前:深井など 後:泥眼じゃないなあ。
喜多能楽堂初めて。正式名称は、十四世喜多六平太記念能楽堂。外観はビルでとても能楽堂には見えない。内部はちゃんとした能舞台。ガラガラと言っても良いような状態。2階席の最前列を予約したが(全席指定なので)、十分の一も入っておらず、好き放題に座れる。S席9000円から、2階席(D席)6500円の差があるので、高等遊民としては、お安く2階席の最前列にしたが、景色は問題ない。前に人がいると頭が邪魔になるから。
施設は古くなっている。建て替えが必要な状態だけど、資金不足らしい。
『八島』は勝修羅物。義経の屋島の戦いを中心に、前半は景清の錣引きなど。能『景清』では、景清の思い出として語られたモノ。角度を変えて能で演じられる。後半は、義経の弓流し。平家物語の有名な話し。八島に観光に行きたいな。アイ狂言は、小書きによっては那須与一の語りになるようだが、今回は小書き無し。前半の復習みたいな。能の修羅の話は、勝っても負けても、戦の不条理や悲しさなどを書いていて、意味深い。
『八句連歌』は野村萬斎が、ちゃんと狂言を語っていた。この狂言は、貧乏人が金を借りていて、買えして欲しい、金を借りたいという背景があるが、和歌の掛け合いになるのだが、ちょっと素人には歌の内容と面白さが理解できない。パンフなどで歌の内容を教えてもらえれば良いけど、調べろと言うことかな。
『海女』は、藤原不比等(淡海公)とその息子房前の大臣のお話。大昔の逸話。子方(13歳という設定)は実際に子供が演じる。台詞も多くて大変だろうな、動いちゃいけないし。不比等と関係を持って子供ができた海女が、自らの命をさらして、子のために宝珠を龍宮に取りに行く、卑しい身なのにその子を藤原の直系にして欲しいと約束して。その有様を描いた「八段之舞」は見応えがある。
1月の横浜狂言堂で、東次郎さんが予定なく舞った。でもあれは狂言方の仕事ではなくて、シテ方なのだよね。あのとき、急遽演じて、東次郎さんもきちんと舞ったし、地謡もきちんと謡った。今更ながら東次郎さんは偉い!その時は「珠の舞」と言っていたような。
後半は、幽霊だから泥眼で出てくるとものの本に書いてあったけど、どうも泥眼じゃないような。でも、房前の大臣(実の子)を見つめる顔が、悲しげで、優しげで、見下げているから「クモリ」というのだろうか、能面の深さを再認識。
喜多流のこの自主公演は、空いているから時間が合えば行っても言い。大体能を2~3曲やるので、6500円と行っても単価は安い。空いているし。観世の方々と違って喜多の方々は気取った感じがない。喜多能楽堂の場所が、目黒のドレメ通り。珍しい名前だなと思ったら、ドレスメイクの杉野学園がメインになっている通りなのね。サンマの記念碑はなかった。昼食にかかってしまうので、皆さんコンビニ弁当などを買ってきて、12時前か、最初の休憩時(20分間)で食べていた。それも庶民的なのか。悪くない。空いていたけど、前日と違って緊張感は失われていなかった。