3月10日(日) 横浜能楽堂

狂言組(和泉流)

お話し 能村品人

『入間川』 シテ(大名)野村万蔵 アド(太郎冠者)野村拳之介 小アド(入間の何某)河野佑紀

(休憩)

『鎌腹』 シテ(太郎)野村万禄 アド(妻)能村品人 小アド(仲裁人)山下浩一郎

 

今月の狂言堂は、まったく笑える、楽しい狂言。和泉流の野村万蔵家。解説で言っていたけど、狂言は大きく大蔵流と和泉流に別れるが、その中でも「家」で演じ方や、台詞なども結構違っている。だいぶ解りかけてきた。

 

『入間川』は、入間様という逆さ言葉、逆の意味を表す言葉の遊び。どうして入間川という曲名が付いたか、諸説あるらしいが、入間川が逆流したことがあって、そこから逆さ言葉が入間様と言われて、狂言『入間川』になったか。何百年か続いている狂言曲のはずだから、昔の人は、入間川の伝説というか謂われを知っていて、楽しんでいたことだろうと思う。すごいことだな、と思う。

和泉流、野村万蔵家の『入間川』はしっかりと記憶にとどめて。

 

『鎌腹』。お幕からの登場がすごい。いきなり太郎(シテ)が転がり出てきて、それをわわしい妻(アド)が鎌と棒を持って追いかけてくる。ぶっ殺してくれる、と聞こえたがなんとも勇ましいことで。仲裁人(小アド)も出てくるが、シテは「浩一郎さん」と呼ぶ。役者の本名ですね。これは今様なのか、昔からそうなのか。

シテが、腹立たしや腹立たしやと鎌で腹を切るだの、鎌を木にくくりつけて目をつぶって突進しようとするなど、自害しようとするが、本当は浩一郎さんに止めて欲しいし、嫌なのだが、意地ですね。死んでやると言いながら、痛いのが嫌だと。でも、最終的には、今日の所は、見物もいないから止めておこうと。昔から、わわしい女と、空意地の男。変わらないねえ。女は怖い。

3分の2くらいは、シテの一人芝居だが、大変に疲れると思う。台詞や動作の寸分の間違いも許されない。

 

高等遊民。だいぶ経験を積んできて、横浜能楽堂の職員とも顔なじみに。謡・仕舞教室にも当選したし、11日にも能楽堂に行く。連日。