3月3日(日) 神奈川県立青少年センター紅葉坂ホール

生麦囃子保存会 獅子の狂い、阿亀の所作事

藤野歌舞伎保存会 こども白波五人男「稲瀬川勢揃いの場」

堀内紀宏 歌舞伎レクチャー 歌舞伎音楽の魅力について

藤野歌舞伎保存会 「仮名手本忠臣蔵七段目ー祇園一力茶屋の場ー」

 

どこかで見つけたパンフで、入場料無料とあって、そうだよね、昔は村芝居があって、楽しんでいたのだよね、と気楽に申し込んだ。要事前申込みで、ネットで申し込んでいたら、後日、応募多数につき厳正抽選の結果当選しました、なんて返信があって、本気で行かなくちゃと。

前日、梅見の三渓園と日フィル演奏会、夕食で飲んだ後、電車の人身事故で帰宅困難。寝たのが深夜2時頃という有様で、しかも当日雨で寒くて、寝ていたい気がしたが、何しろ厳正抽選で当選してしまった、僕が行く代わりに行けなかった関係者もいるのではないか、と頑張って出かけた。

 

祭り囃子は、結構あちこちに残っていて、僕の地元の神社でも、保存会の囃子があって、夏祭りには楽しんでいる。去年は孫と一緒に出かけた。結構子供が演じていて、まだまだ大丈夫かな、なんとか継続して欲しいと思っていた。こういう公共団体の援助があっても、祭り囃子の保存は良いと思う。

 

こども歌舞伎は、またかわいらしくて。例の白波五人男の口上と見栄らしきものを演じていた。

 

解説、レクチャーが良かった。松竹歌舞伎は何度も見ているが、その舞台裏、歌舞伎音楽について教えて貰った。下座のこと、義太夫のこと。とりわけ義太夫は、人形浄瑠璃(文楽)と歌舞伎の違い。どっちが、演目進行のリードを取るか。人形はしゃべらないから義太夫の太夫と三味線。歌舞伎は役者がしゃべるから、ト書きだけ。

 

一力茶屋の場は、素人芝居だからどこまでできるかな、なんて高をくくっていたが、いやいや馬鹿にしてはいけない。声がやや小さいから届かない。義太夫は本職に任せざるを得ない、衣装などは松竹に比べて見劣りがする、など欠点をあげつらうのは簡単だけど、何しろこっちは素人で入場料金タダだよ、松竹はなんと1万8000円。幼少の頃から煽てられて躾けられてきた役者と違うのは当たり前。

それなりの衣装。とりわけ女性の役は女性がやるから、着こなしはまあできる。でもおかるの衣装なんかは、普段着ている衣装じゃないから、特別あつらえでしょ、いくらかかったのか。大道具も、小道具も。

台詞回しや動きも、誰かきちんとした師匠がいるものか、今時だからDVDを見て練習するのか。化粧だって、ちゃんと歌舞伎の化粧だよ。

まあ、見栄が決まらないのはご愛敬だけど、見栄までできたら本職役者の成田屋や中村屋、成駒屋、高麗屋が困るでしょ。

発表の舞台が安く確保できれば、入場料を取って一座を構えられるか。まあ、前進座の失敗もあるから無理だろう。

いやいや、びっくりするほどしっかりと一力茶屋の場だった。

前日の疲労でウトウトしたこともあったが、申し訳ない、こっちの準備不足。御乱行の果て。

来年も見てみようかな。

こういう地芝居公演は、2002年スタートで18回目だと。知らなかった。知っていたとしても行こうという気力は出なかったと思う。休日にわざわざ来るか。県立博物館もそうだった。

高等遊民化すると、こういうことに触れあえる。人生が豊かになる。