1月12日(土) 横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也

ベートーヴェン:プロメテウスの創造曲序曲

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための2重協奏曲

   ソリスト:ヴァイオリン 三浦文彰

        チェロ ヨナタン・ローゼマン

ドヴォルジャーク:交響曲9番新世界より

 

新年ブログ第3弾は、クラシック。

ベートーヴェンは、初めて聞く曲だけど、ベートーヴェンらしい曲。

ブラームスも、初めてだけど、ブラームスらしい。ソリストは2人とも若い。ローゼマンに至っては、プログラムに生年が書いてあって、1997年生まれ。二十歳そこそこ。にしては、しっかりした良いチェロの音。背が高くて、チョロの「脚」の部分が長い。

ブラームスらしさが出ていたが、2つの弦楽器、どちらも人間の声に近いような、繊細な高音部、かつ、お腹に響く低音部の響きに、何故か鎮魂歌的に、今日の僕には聞こえた。

30年以上、共に消費者関係事件を扱ってきたS弁護士が、突然、1月11日(金)に死んだのだ。空しくなった。

 

後半の『新世界より』は、新年の「お決まり」曲ということらしい。確認できるだけで、2015年1月は、コバケン指揮で。2016年1月は大植英次指揮。2017年1月は飯森範親指揮。2018年1月は、「新年恒例のはずなのに、新世界よりではない」とメモ。

この中では、やはり小林研一郎の指揮する2015年1月10日の『新世界より』に感激したようだ。当時書いていた事務所のブログの記事を引用する。

 

”ドボルザークはきっとチェコの田舎育ちだ。想像だけど。
それがウィーンで成功して、アメリカに渡る。
そこで、騒々しい発展している若い文化にぶっ飛んだのだな、多分。
しかし、チェコの田舎が忘れらんない。
で、『新世界より』の作曲じゃあないか。
コバケンと日フィルは、新解釈でなく、きっちりとドボルザークを演奏した!
アンコールはハンガリアン舞曲の5番。
鳥肌を通り越して、泣きそう。
コバケンはスラブ民族の血が流れているんじゃないか!!”

 

今年の下野指揮は、きっちりとした正統派的指揮。第2楽章のフルートが素晴らしい。真鍋恵子さんか。第3楽章のトライアングルも印象的。打楽器類はメロディーがないから、タイミングと強弱だけ。この曲のトライアングルは極めて重要。同じく、2016年1月9日の大植指揮の事務所ブログから引用。

 

”第3楽章のトライアングルが効果的で印象的。不可欠。
生演奏じゃないと良く聞こえないのだ。次男が中学生の頃に町田市民ホールで初めて生演奏で「新世界」を聴いた時、それに気づいて感動した記憶。その再来。

あの奏者は第2楽章まで暇々しているけど、極めて重要なのです。”

 

『新世界より』は、思い出の多い曲。期間的な意味では、クラシック歴最長だろうと思う。そんな思い出の中で聴いていたら、涙が出てしまった。

@中学になった頃、家に大型のステレオが登場した。そんなに教養的な家ではなかったのに、どうして買ったんだろう。半世紀以上前。それに合わせて初めて買ったクラシックのLPレコードが、『新世界より』ではなかったか。ずいぶん聞き込んだ。あの第2楽章が、通っていた中学校の下校だか何だかのメロディーで、どういう訳か、教師が教室であの曲知っているかと生徒に質問して、僕が「ドヴォルザーク作曲交響曲第9番新世界よりの第2楽章です。」と手を挙げて答えた。あの教師もそこまでは知らなかったんだろう。とても好きな曲で聞き込んでいたから、思わず答えてしまった。

@上記した次男と一緒に2人で聞きに行った頃。次男はアトピーがひどくて、朝起きると顔や身体を掻きむしってシーツが血だらけになるという状態。ステロイドの薬を使いたくなくて、色々民間療法を試みたが、上手くいかず。可愛そうだった。漢方の塗り薬を塗ったこともあった。匂いがするので、学校で「臭い」といじめられて。あのとき、次男も、トライアングルが良かったね、と。あの当時のことを思い出すだけでも、泣きたくなる。

 

音楽は、記憶と共にある。『新世界より』はそんな曲。ちょうど、S弁護士が急逝した翌日、知らされた当日だったから、それも相俟って、こんな感想。思い出の中で、泣く。