9月17日(月・敬老の日)、彦根城博物館能舞台で。彦根城は、徳川譜代の井伊家の城なので、しっかりした能舞台もある。能楽堂になっていなくて、見所は最前列を除いて室内だが、外の雰囲気が感じられる。風、カラスの鳴き声。雑音は聞こえない。
観世流。
能楽研究者のお話。全く面白くない。眠くなる。
仕舞「船弁慶」 上野雄三
船弁慶の知盛亡霊が長刀を振るって、義経・弁慶一行を襲うところからの、仕舞。
いやはや、格好いい。東方降三世(ごうさんぜ)、南方軍茶利夜叉(ぐんだりやしゃ)、西方大威徳(だいヰとく)、北方金剛(こんごう)、夜叉明王(みょうヲお)、中央大聖(ちうおおだいしょお)、不動明王(不動みょうおお)と続くところは、ゾクゾク。
狂言「栗焼」 太郎冠者茂山七五三、主茂山千五郎
主が頂いた栗40個を、太郎冠者が命ぜられて焼き栗にするが、全部食べてしまう曲。その食べてしまう様、言い訳の様が、絶妙に面白い。
能「景清」 シテ景清野村四郎、ツレ人丸大槻裕一、ツレ従者上野祐介、ワキ里人福王和幸
景清は2度目。最初は、囃子方が面白いと思った程度だが、今回は、十分予習したため、実に楽しめた。原文を見ながらだから、意味もつかめる。景清が、最初は小さくなって庵の中にとどまっているのが、外に出てきて、屋島の戦いの錣引を語る下りになって、立ち上がり、姿勢も良くなって、動作も加わり、自慢の奮戦様子に至る、その変化。
更に、いよいよ親子別れにいたって、寂しさの雰囲気。
眠くなる指数の高い曲だけど、ちっとも眠くならない。
高等遊民の予習のたまものか。
能の、動と静の取り合わせは、日本画や茶道などと通じて、省略と想像の世界。素晴らしい。