7月21日(日) 梅若能楽学院会館
舞囃子 『海人』 野崎美歩
笛:一噌隆之 小鼓:大山容子 大鼓:柿原光博 太鼓:梶谷英樹
地頭:角当行雄
能 『実盛』
シテ(老翁 斎藤実盛の霊)角当直隆 ワキ(遊行上人)福王和幸
アイ(篠原の里人)金田弘明
笛:一噌隆之 小鼓:飯田清一 大鼓:原岡一之 太鼓:梶谷英樹
地頭:梅若紀彰
狂言『不腹立』 (和泉流 三宅家)
シテ(出家)三宅右矩 アド(何某)三宅近成 小アド(何某)前田晃一
(休憩)
能 『半蔀』
シテ(都女 夕顔の霊)土田英貴 ワキ(僧)大日方寛
アイ(五条辺の者)高澤祐介 地頭:山中迓晶
笛:一噌隆晴 小鼓:大山容子 大鼓:柿原光博
付き祝言 不明
梅雨明け真っ盛りで、猛暑。外出は危険とまで。
でも、出かける。
舞囃子『海人』は女流で、確りしていました。
能『実盛』は、素晴らしい出来。
3回目だけど、こんなに良かったんだ。
老体の修羅物、3修羅のひとつらしい。後は『景清』『頼政』。重い曲で、謡は準九番習。
60を過ぎた平家方の斎藤実盛が、篠原の合戦に、錦の直垂に、鬢髭を墨で染めて出陣し、若者に討ち取られるが、首実検で、頭を池で洗うと、墨が流れて白髪が現れて、実盛だと解る。
前半は、ワキにしか見えない設定の前シテ老翁が、名を名乗れと何度も問われるのに、ああだこうだと理屈を並べて答えようとせず、最後に実盛の霊と明かす。
大将でもないのに錦の直垂を着、鬢髭を墨染めにして、いわば変装して戦った老体の実盛の正体を隠そうとした後場に続く、伏線。
この詞章が難しい。
後場は、篠原の合戦の様子や、首実検の様子。純粋な舞は無いけど、仕方で舞う。クセ舞。
前半も後半も、シテの角当直隆さん、名演技で、素晴らしい。謡いも、舞も、老体でありながら戦う様も、その意気込みもよく表れていた。
多分前シテも後シテも「笑尉」面。それがぴったりで、良かった。
それにもまして、難しい謡をまとめ上げた地頭の紀彰先生。素晴らしい。声も良い。迫力もあって。
直近のお稽古で、仲間が『実盛』クセを教わって、これは修羅物と言っても、激しいものではなくて、ワタクシのような高齢者にも向くのではないか、と思われた。
良かった。
狂言『不腹立』、はらたてず、と読む。
新しく建てたお堂の守に新参者を探す。上下の街道で会ったのが名前が「腹たてずの正直坊」と聞き、名前をおちょくって怒らせてやろうとからかう話。
ここで10分だけの休憩。
能『半蔀』、3回目。
立花供養の小書きがない。ので、半蔀の作り物は橋掛かりではなくて、舞台の常座辺りに。
シテの土田さん。土田さんのシテは初めて見るかも。
緊張している風で、特に前場は動きがぎこちない。足袋が滑らないようで、突っかかる感じが続く。
クセとキリと、仕舞を習っていたので、詞章も、舞もしっかりと頭に入っていて、馴染みがある。それだけ楽しい。
序ノ舞は習っていないけど、土田さんの序ノ舞はきちんと舞っていました。
角当直隆さんや山中迓晶さん、土田英貴さん、のクラスが、伸びてきている感じ。
楼雪先生がご病気で不在なのに、穴埋め出来つつあるか。
梅若会の定式能は、能2番と狂言1番、そのほか、今回は舞囃子。
途中休憩は10分だけで、13時開始で17時終了。疲れるのです。
でも、楽しい、良き能会でした。
帰りに、寿司屋でいつもより食べ、飲んでしまって。良い気分。
これだから能楽鑑賞は止められない。