哀しみを乗り越えて・・・
ある街に、
1人の勇敢な消防士が いました。
彼は、燃えさかる炎
の中に自ら飛び込み、
何人もの尊い生命を救ってきました。
いったい何が、彼を そうさせるのか
彼が、まだ中学生の頃、
学校での体育の授業中に
大きな地震に見舞われました。
街の あらゆるところが炎上し、
多くの家が火事に なりました。
彼は 両親
のことが心配になり、
家まで 駆けつけると、
すでに、家は炎
に つつまれていました。
そして、そこには、
ケガと火傷を負った彼の父親
が倒れていました
しかし、母親の姿は 見当たりませんでした
すると、炎に つつまれた家
の中から
「 誰か 助けて~ 」
という、母親の声が聞こえてきました
彼は、家
に取り残された母
を助けようと、
炎の中に 飛び込もうとしましたが、
すでに 中に入れる状態では ありませんでした
「 お母さ~ん お母さ~ん 」
彼の必死の呼びかけも むなしく、
家は みるみる炎
に 覆われていきました。
彼は、せめて父親
だけは救おうと、
燃えさかる街の中を、父親
を かかえて、
涙を流しながら、安全な場所へと非難したのでした。
時は流れ・・・
大人になった彼は、
みずから消防士に なることを決意し、
身命を賭して 多くの人の生命を
炎の中から救い出したのでした。
そこには、
「あの時、もっと早く 家に辿り着けていたなら
お母さんを助けることが できたかもしれない!」
という積年の思いと、
「こんな哀しい思いをするのは 自分1人でたくさんだ」
という 切なる願いが、
彼の心に 強い勇気と使命感を与えていたのです
そこには、母の死という
哀しみを乗り越えた者にしか出来ない
[ あとがき ]
時に 神仏は、
私たち人間に、
試練を お与えになります。
しかし、
どうか、哀しみの向こうにある 夜明けを
信じてほしいのです。
何の意味もなさない哀しみなんて ないんです。
このたびの東北関東大震災において、
被災に遭われた方々、
大切な人を失ってしまった方々に とって、
私の つたない話など、
何の慰めにも ならないことは わかっています。
しかし、
どうか この現実に負けないでください。
お願いです!
誰のためでなく、
亡くなった方々のために、
少しでも前に進んでください!
神仏は けっして
あなたのことを
見捨てたりは
なさいません!
必ず 哀しみを乗り越える日は 訪れます! 信じてください(-人-)