仏さまと出逢った女の子
ある町に、中学生に なったばかりの
遥ちゃん
と、今日子ちゃん
という
幼なじみで 仲良しの2人がいました。
ところが、その年の夏、
遥ちゃん
は 急性白血病のため入院となり、
余命 長くても1年と宣告されました。
両親は、
残された時間を悔いのないように過ごしてもらいたい
という思いから、
遥ちゃん
に、病気のことを正直に伝えました。
親友の今日子ちゃん
にも 伝えました。
しかし、遥ちゃん
は、
自分の命の期限の宣告を受け入れることができず、
激しく動揺し、
その心は、絶望の淵へと堕ちてしまいました。
私、本当に死んじゃうの?
誰も助けてはくれないの?
仏さまは この世には いないの?
私、まだ死にたくない!
失意の中、遥ちゃん
は、心の中で叫び続けました。
そんな遥ちゃん
のことを心配して、
親友の今日子ちゃん
は毎日、
お見舞いに訪ねましたが、
遥ちゃん
は、心を閉ざしたままでした。
しかし、今日子ちゃん
が綴った1通の手紙が、
遥ちゃん
の凍った心を溶かしました。
遥ちゃんへ
遥ちゃんは今、
きっと暗闇の中にいるんでしょうね・・・
でも、私は 遥ちゃんのこと、
最後まで見捨てないからね。
たとえ遥ちゃんが、どんな事になっても、
ずっとずっと親友だからね。
今日子より
遥ちゃん
は、奇跡を信じて、
最後まで病気と闘うことを決意しました。
その年の暮れ、
遥ちゃん
の両親と今日子ちゃん
で、
遥ちゃん
の13歳の誕生日パーティーを開き、
皆で 楽しい ひとときを 過ごしました。
そして、その1ヶ月後、
遥ちゃん
は、眠るように息をひきとりました。
病室の片隅には、
今日子ちゃん
に宛てられた1通の手紙が、
残されていました。
今日子ちゃんへ
私が不治の病になり、
絶望の中で 残された時間を過ごしている時、
私の心に希望を与えてくれたのは、
今日子ちゃんでしたね。
あの時、私は、
この世には 仏さまなんていないって、
思ってしまったけれど・・・
私は、最後の最後に、
仏さまに 出逢うことができました。
仏さまは、今日子ちゃんの心の中にいました。
お父さんや、お母さんの心の中にいました。
だから 私は、この世に生を受けたことを
本当に幸せだと思っています。
遥より
遥ちゃん
は、
感謝という 素晴らしい宝物を いだいて、
仏さまのもとへ
安らかに 旅立っていきました。
お父さん、私を育ててくれて ありがとう。
お母さん、私を生んでくれて ありがとう。
[ あとがき ]
東北関東大震災により、
尊き生命が・・・、あまりのも多くの生命が、
消えていきました。
私自身、
いのちの尊さについて
真剣に考えさせられました。
いのちあるものは、もっと
今を大切に生きなければならない
と いうことを 痛感したしました。
そして、
心を込めて
このエッセイを
綴らせていただきました。
どうか、
何かを感じていただけたらと、
切に願っております!
いのちに感謝し、
今を大切に生きる

