「追いの命のこりて、三代将軍の墓所を西国の輩の
馬のひづめに懸けんこと、はなはだ口惜しき次第なり」 
              
 源頼朝の妻 北条政子(1157~1225)


私が長生きしたばかりに、この源氏三代にわたる将軍の墓所を、
攻めてくる西国武士(朝廷軍)のやつらの馬のひづめで
踏み荒らされることは、まことに悔しいことである。

北条政子



その生きざま…
政子は、北条時政の娘。北条の監視下の元、流刑の立場であった
源頼朝と恋に落ちる。しかし全盛を誇る平家の遠慮から、
時政は強引に二人を別れさせるが、婚礼の夜政子は、抜けだし、
頼朝と駆け落ち。この政子の強い意志と、情熱的な行動が、
鎌倉幕府を開く原動力となり、さらに十五代まで続く北条市の
執権政治のスタートにもつながっていく。


その死にざま…
頼朝死後、尼将軍といわれた政子が、後鳥羽院の倒幕の挙兵に際して、
動揺する御家人たちに対して与えた訓戒でもある。
上皇の挙兵を知った鎌倉方の動揺は大きく、「朝敵」となることに、
無条件降伏を唱える御家人さえいた。
そんな折、御家人たちを集めて叱咤激励した言葉である。
この政子の演説に感動した御家人たちは、幕府への忠誠を誓い、
朝廷軍を破った。これが承久の乱である。
政子は、幕府軍の勝利を見とどけるかのように、四年後に世を去った。
老いてもなお、強い意志をみなぎらせた言葉だ。

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