「ディベート甲子園2014 高校の部 論題解説」を読む(その2) | 柏ディベートラウンジ(KDL)のブログ

柏ディベートラウンジ(KDL)のブログ

柏市を主な活動拠点にした地域ディベート団体の活動を記録するブログです。(活動拠点:千葉県柏市、我孫子市、松戸市etc)

2014年&2015年の主な活動:審判派遣(CoDA新人大会、ディベート甲子園)、ブログを通じたオープンなディベート普及活動

=============================
「高校の部 論題:「日本は外国人労働者の受け入れを拡大すべきである。是か非か」

付帯:①日本国内に事業所を置く機関との雇用契約の締結のみを条件とする日本国内での労働を認める在留資格を新設する。②雇用契約の締結先機関及び国籍による受け入れ者の制限、受け入れ人数の制限を行わない。」
(以上、NADEのウェブサイトより引用)
=============================

今回は、

高校の部の論題解説のうち「1 はじめに」について考えてみたいと思います。


「1 はじめに」では、今回の論題の背景事情等について説明しています。

NADEのウェブサイトより「1 はじめに」の文章を引用します。
(ただし、下記キーワードの該当部分のみ『』でくくっています。)

引用開始。
「日本は、『高齢社会』となっており、『生産年齢人口』の全人口に占める割合は62.9%(2014
年)となっています。そして、今後、『少子高齢化』の傾向は続き、2060年頃には、『生産年齢
人口』が全人口のおよそ50%程度にまで減少すると予測されるとともに、近い将来、日本は
『深刻な労働力不足』に直面するといわれています。また、『世界的に交通網や情報網の発達』に
よって、『急速にグローバリゼーションが進み』、『労働力が国際的に流動化』しています。皆さんの身近にも、外国人の方がいらっしゃるかもしれません。 」引用終わり。


ここで、前記文章に掲載されているキーワードを括り出してみます。

①「高齢社会」

②「生産年齢人口」

③「少子高齢化」

④「労働力不足」

⑤「(世界的な)交通網や情報網の発達」

⑥「(急速な)グローバリゼーション」

⑦「労働力の国際的な流動化」

ざっと、7個のキーワードが出てきました。

どれも難しそうな単語ですね。(特に⑤~⑦)

それにしても、
公務員試験の受験生にとって必須の単語ばかり、というのが正直な感想です(笑)


ちなみに、ディベートを行う上で、このようなキーワードについて、
正しい意味で理解している使っているか、つまり、定義をきちんと定めて使っているか、
ということが大事だと私は考えています。

例えば、

肯定側が使用している「高齢社会」の定義と、
否定側が使用している「高齢社会」の定義が噛み合っていない場合、
そこから展開している議論が噛み合わない可能性がある、と考えられます。

(同じ用語であっても、筆者によって使い方が変わる場合がありますので、リサーチの際は注意が必要です。)


さて、

本論に戻して整理してみますと、
「1 はじめに」では、主に以下のような内容を述べていることがわかります。

①日本は、『高齢社会』となっている。

②『生産年齢人口』の全人口に占める割合は62.9%(2014年)。

③今後、『少子高齢化』の傾向は続き、2060年頃には、『生産年齢人口』が全人口のおよそ50%程度にまで減少すると予測される。

④近い将来、日本は『深刻な労働力不足』に直面するといわれている。

⑤また、『世界的に交通網や情報網の発達』によって、『急速にグローバリゼーションが進み』、『労働力が国際的に流動化』している。


①、②、⑤は、現状を述べています。

③、④は、将来についての予測を述べています。

ここから、日本の「労働力不足」という点に注視して、論題を導入する必要性について述べていることがわかります。

(このような構成にしたのは、この部分しか論題導入の理由がないというわけではなく、この部分を論題導入の理由にすることが適当と判断したからだと思います。)


このような日本の現状などを踏まえて、論題解説者は、以下のように述べています。

同ウェブサイトより引用開始。
「このような事情を背景に、外国人労働者の受け入れの拡大の是非について、これから社
会へと旅立っていく高校生の皆さんに議論して頂きたいと思います。 」引用終わり。


私は、今回の論題は、中高とも、「これからの日本のかたち」について考えること、
が、これまで以上に求められているように感じました。

(もちろん、このような考え方が直ちに判断基準になるわけではないですし、試合ごと、審判ごとに判断基準が異なるのは言わずもがなです)

このような傾向は、「8 最後に」の文章からも明らかです。

引用開始。
「以上のように、今回の論題は、外国人労働者を幅広く受け入れることによって、外国人
と共に働く社会へと変革することが想定されるものです。

「前述の様に、様々なメリットとデメリットが想定されます。みなさんには、このような論題を検討し、日本はどのような政策を選択するべきかを分析して欲しいと思います。その過程を通じて、皆さんがこれから歩んでいく社会のあるべき姿はどのような社会なのかを考える良い契機になれば幸いです。」

そういう意味で、今年のディベート甲子園の決勝戦でどのような試合展開になるか、
観戦するのが、今からとても楽しみです(^^)

~~~~~~~~~~~~~~
以上、解説文を書いてみたものの、私の力量不足でグダグダになってしまい、反省しきりです。

量を重ねて、質を上げていく所存です。

次回は、「5 予想される議論(肯定側)」について、
メリット3要件(内因性、重要性、解決性)を基に考えてみたいと思います。