人事異動の季節。
多くの会社が、この春にかけて人事異動を実施する
と思いますが、社内における人事異動に併せて社外
に「出向」する人事も同時に行われる時期です。
「出向」というと、サラリーマンの世界ではあまり
いい意味にとられないことが多いですが、資本関係
も含め、前向きな出向というのも事実多く存在する
ものです。
しかし。
この前向きな「出向」によって着任する社員が、
現地で“疎ましく”思われることが結構あります。
心の中では、出向という現実を受け入れたくない、
とか、もうコースを外れたなどと不安一杯の気持ち
になるものでしょうが、そんな顔をして着任する
わけにはいかないので、一生懸命現場に馴染もうと
気配りをします。
もちろん、親会社の人間ということで偉そうにする
なんて愚かなことをする人はまずいません。
いたとしてもいずれ淘汰されます。
大半の気配り社員が、現場で前向きで建設的な意見
をするのですが、これが“疎ましく”思われる要因
だそうです。
得てして古参社員から…
「今までこのやり方でやってきてるから余計なこと
言うなよ」
「かっこつけて、親会社から新しく予算づけしよう
とか思うなよ」
なんてことを言われるのです。
前向きな言動=邪魔・面倒
という方程式ですね。
通常は、こんな場合でも古参の保守的社員を淘汰
することで改革を先行させるのが親会社ですが、
現場の出向社員はそうとうきついものです。
仲間がいないので、孤立無援の状態で奮闘しないと
いけないわけです。
最近はこういう場面で、精神疾患になり退職や別の
子会社に出向転属、なんて事例をよく聞きます。
どんな世界・会社にも「今まで」を大事にする習慣
はありますが、守るべき部分を客観的に判断する
のは既存社員では意外に難しいものです。
本来はこういう視点を機能させるのが出向社員でも
あるはずなのですが、敵地に迷い込んだ蟻のように
総攻撃を受けるわけです。
人間のエゴとプライドがそうさせるのでしょう。
つくづく人事とは難しいものです。