「当事者意識を持って仕事をすること」
新入社員研修などで、声高に言われることの代表格かも
しれませんね。しかし、よく考えるとおかしな言葉では
ありますね。仕事に関わる人は、皆「当事者」なわけです
から、当事者意識のない人なんているわけがないんですが。
簡単な説明文にしてみると
「仕事に主体性を持って、全て自分のことだと思って取り組む
意識」ということになるんでしょう。
対語的に書くと
「仕事に主体性を持たず、全て他人事だと思って取り組む意識」
となりますね。
こんな人がいたら、即刻クビになるはずですから、会社の中に
そんな人がいられるわけがないのですが、現実にそういう人が
いるから、この言葉自体が存在し、新入社員研修を始めとした
研修で指導する必要があるんでしょう。
実際の仕事の場面を考えると、当事者意識というよりも、仕事に
取り組む際の「主役意識」と言い換えたほうがいいんじゃないか。
そうすると対語は「脇役意識」となります。
主役意識と脇役意識。
これはわかりやすいです。
例えば、担当営業マンが「社長に顧客先に同行してほしい」と
依頼してきたとします。
できの悪い営業マンと、優秀な営業マンはすぐにわかります。
できの悪い営業マン=脇役意識
優秀な営業マン=主役意識
です。
お客様のオフィスに着くと、できの悪い営業マンは、すぐに社長を
真中に座わらせようとし、自分は手前の端のいわゆる末席に座る。
そして、何のストーリーも仕切りもなく、「主役は社長」とばかりに、
切り出しから本題まで、社長に喋らせ、自分はあくまで脇役で頷き、
カバン持ちに徹します。
優秀な営業マンは、訪問前に今日のストーリーを社長にレクチャー。
「まずは自分が日頃の感謝を述べ、今商談中のことについて簡単に
イントロを述べます。その後社長を紹介しますので、こうこうこういうこと
を言ってください」と。
そして、先方に到着すると、社長を一番奥にまずは座らせ、自分は
真中に陣取り、シナリオどおり、雑談を自分で仕掛け日頃の感謝
を述べ、商談中のことについて簡単に前置きをして、社長を紹介。
それはそれは見事な仕切りなわけです。
後者の優秀な営業マンは、担当営業マンがあくまで主役で、ここぞという
商談に借り出された社長はあくまで脇役でしかないのです。
主役」という、何とも哀れとも言える単純さで脇役に成り下がり、ストーリー
を理解していない社長がとうとうとトンチンカンな世間話などでお茶を濁し、
先方にマイナスイメージを残して帰るという羽目になるわけです。
仕事のできる人は、自分の仕事は自分が主役で、例え社長といえども、
自分の仕事を手伝ってくれる脇役ぐらいに考えるものです。
逆に、仕事のできない人は、すべてが社長の仕事を手伝っている脇役
というような意識になってしまっているわけなんです。
当事者意識を持つということは、仕事の主役はあくまで自分であり、主役
がストーリーを描き、仕事の目的を達成するために効果的な脇役をオファーし、
シナリオどおりに動いてもらうというスタンスを持つということです。
これを当事者と言うと思いますが、前者の営業マンは「偉い人がいつも