【人材は選ぶのみ】
「人は育てるものではなく、選ぶものである」
こう豪語している経営者がいます。
採用広告費を膨大にかけて、「育てなくてもいい」即戦力
の人材や、「新卒の染めやすい、素材のいい」人材を奪合う。
入社して、結果的に組織に合わない人材は、見極めを早く
して入れ替えていく。
そうした優秀な社員を奪い合い、優秀な人だけを残したい
という一辺倒の人材観では、経営者の底浅いさもしい精神
が透けて見えるのではなでしょうか。
企業の体質の面でも問題があり、個人にとっても幸せな会社
になっていくかどうかは疑わしいですね。
理念の浸透や、人事制度の構築、リーダー研修の設計など、
色々な目的で顧客企業の社員の皆さんにインタビューさせて
いただく機会がありますが、現在抱えている課題や不満に
ついての質問では、会社の環境(企業理念、組織風土、
仕組みや戦略)に関すること、そして上司に関することが多く
意見としてでてきます。
課題や不満を聞いているのだから、そういう傾向になるのだと
思うのですが、他罰的な話がどうしても多くなるのが特徴です。
中には、「○○は、役に立っていないので、辞めてもらった方が
会社のためではないか」というような物騒な話を社員の立場で
口にする場合もあります。
ましてや社長が、「使えない者は辞めてもらって入れ替えればよい」
というような人材観を持っているとしたら、自分より優秀な人は
社内にいないのだから、入れ替えても入れ替えてもきりがなく、
最後には、社員が一人も残らないことになってしまうでしょう。
競争関係がますますシビアになっていく昨今。
これからは、会社全体の能力発揮度が競争の源泉になっていく。
そうなると、昔ながらの一対一の徒弟制度のような教育の仕方は、
到底通用しません。
理念や組織風土といった、組織の根源に関わる基本的なことの
中に育成の観点を盛り込んでいかなくてはならないと思っています。
・理念の浸透の過程を通じて社員の人間力向上を目指す。
・組織風土を、何よりも人が育つ風土に変革していく。
今後、非常に重要な観点になっていくのではないでしょうか・・・。