ある経営者の著書で、仕事ができる人は机が汚いのは当然だ、
という文章があります。
その論の根拠は、簡単に言うと、できる人には仕事が殺到し机を
いつもきれいにする暇などない。
きれいにしておける人は仕事をしていない人だというものでした。
きっと著者がご自分を正当化したのでしょうが、普段机を整理
できない人が大喜びしそうな理論です。
私は、本当に仕事ができる人に整理整頓が下手な人はいない、
と考えています。
ごくたまに、身の回りが整理されていなくても、天才的に物事の
仕分けができており、理路整然とされている人もいるのですが、
それは例外。
自分のデスク周りや、資料の整理などが常にできていると、
だいたい課題に関しての整理もできており、仕事の進め方も
計画的な場合が多い。
身の回りと、頭脳の中はほぼリンクしているように思います。
かつて『ウォールストリートジャーナル』紙は、ビジネスマンが仕事場で
探しものをする時間を、年間で6週間に及ぶと報じていました。
けっこう書類探し、モノ探しに時間をとられている人もいるのではない
でしょうか。
もうひとつ大事なこととして、身の回りがすっきりきれいでなくても
平気な人には、二つの癖があるように思います。
ひとつは仕事に誇りを持っていないということ。
だらしない自分を周囲の目にさらしていても平気だということ自体が、
ものごとに対する無神経さを示していると思うのです。
もうひとつは、人に対しての思いやりが薄いということ。
仕事ができるということは、仕事の流れに意識が持てるということです。
自分の仕事だけではなく、次の工程のことを考えて仕事をしやすく工夫
したり、わかりやすくすっきり整理して渡すということを考えます。
整理整頓の基本は、そもそもモノを持たない、溜め込まない、ということです。
今時はサーバーも安くなり、仕事上の書類をデータでサーバーに保存している
ことが多いと思います。
紙で保存する習慣から抜け出せないために、サーバーも満杯、紙での書庫
も満杯という職場が少なくないと思います。
バックアップの手立ては必須ですが、ペーパーレスをどこまで徹底できるかが
ポイントです。
整理整頓のもうひとつの基本は、いつも同じ状態にするということ。
道具を置く場所をいつも同じにする。
書類の一時保存の場所も気分で変えない。
次の日に回さずに、その日のうちに身の回りをいつもの出だしの状態にして帰る。
この習慣をつけないと、机周りはいつも悲惨な状態になります。