とある自営業者より聞いた話で驚くものがあった。
その自営業者は銀座の一角に古くから土地を所有しており、
その土地に自身の事業所とテナントを誘致できる貸ビルを
上層階に建築した。
当然、ビルを建築する際に金融機関より融資を受けて実行
するわけだが、この際に金融機関から変な誘いを受けた、
という。
テナント募集を金融機関でやり、入居する飲食や事業者に
対して保証金等の金銭面での融資も同金融機関でやる。
その際に保証金を少々高めに設定するのだが、この理由は
物件に融資特約も付与されている、という物件広報にする
ことで一般のテナント物件よりも資金力のないBarなどの
飲食店経営希望者は飛びついてくる、という。
入居者は債務返済と同時にテナント料も支払うことになり、
相応の営業におけるP/L試算をたてないと忽ち経営が行き
づまる。
そこで、金融機関は融資実行の際に保証金融資審査を
緩和する条件に2ヶ月以上連続して賃料、債務返済が滞った
場合には期限の利益の喪失特約事項を追記した契約を
締結することにより、残債務の一括返済と保証金の1/3を
没収する、という内容で入居を斡旋する。
当然、最初は飲食の場合も含めて店舗造作等の初期費用
のほかに人材確保資金、販促資金等もろもろの費用が別途
必要になるので、保証金融資が条件になっているテナント
には相当の魅力を感じ、入居以外の資金調達に時間を割く
ことができるので大半の顧客(家主・金融機関にとって)が
テナント募集から1ヶ月程度で決まっていくという。
しかし、これだけの債務・賃料を継続して契約履行するだけ
の売上が上がるほど「銀座」はあまくない、半年~1年以内
にテナントの半数が上記特約事項により、保証金の1/3を
とられて出て行く、そうすると新たに同じ条件でテナント募集
をかける事ですぐに飲食を中心にした借主が集まる。
要は、金融機関と家主でテナントが長続きしないことを見越し、
双方が保証金を短期間で回収し、期限の利益喪失を行使
することで一切の貸倒れがなく、あっという間に家主の建築時
に借りた融資も返済できる、というわけだ。
圧倒的に金融機関の「一人勝ちプラン」である。
「銀座」というのはいつの時代も金の成る街で、「お金」に縁
のある諸氏はこのような悪知恵を駆使しているのだ。
下手なやくざよりも本当に怖いと思う。
全国の中でも地価がいち早く反転し始めた「銀座界隈」では、
このような手法であぶく銭を懐に入れよう、という団体が山ほど
いるという。
恐ろしい。。。。
期限の利益の喪失について
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分割払いの利益のことです。返済を分割していいなんて、
債務者にとっては、利益ですよね。
そして、この、期限の利益の権利を一瞬で奪ってしまうのが
上記法的措置なのです。
分割払いを、一度でも滞納したり、契約どおりにしなかった場合、
残りの全額に対して請求できるモノです。優れものです。
これが、契約条項にはいっていれば、1回で全額についての差押え
が可能になります。
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