【憲法を守るということ】
記者
陛下は憲法を守るということをおっしゃいますが,今まで話をお聞きしておりまして,大嘗祭,即位礼等について,政府が宮内庁が十分検討したからいいのだと,それが天皇の立場だと言われておりますが,陛下が今まで持ってこられた憲法を守るというような気持ちと,将来いろんなことで政府があるいは内閣がかわってくることも予想されると思うが,これに対して陛下が自分で考えていらっしゃった憲法を守るということを,どういうふうに反映されるか。
天皇陛下
仮定というのは,やはりちょっと,やはりお答え出来ないと思います。
記者
今の気持ちだけで結構なのですが。
天皇陛下
ですから,憲法を守るということ,これにつきるわけでその憲法のいろいろな条項がありますけれど,それに沿っていくということになると思います。
記者
今までと違って,これから多様な価値観に伴って,政府のやっていること,あるいは宮内庁のやることに対して疑問もあるようですが,そんなことは先ずなかったのか。
天皇陛下
やはりみんな,随分,一生懸命検討していると思います。
記者
憲法上問題ないということもあるだろうし,陛下のやっていることは,そう違いないだろうし。
天皇陛下
その憲法の判断は,やはり最終的には,最高裁判所で決められるということになると思います。
【平成2年12月20日、天皇皇后両陛下の記者会見(即位の礼・大嘗祭を終えられ)の記者会見】
○まとめ
世の中には日本国憲法無効論を主張している人もいますが、天皇陛下は、
『憲法を守るということ,これにつきるわけでその憲法のいろいろな条項がありますけれど,それに沿っていくということになると思います。』
と述べられています。またことあるごとにお言葉で憲法を遵守すると述べられいます。
これらのお言葉から感じることは、日本国憲法無効論で現憲法を破棄して大日本帝国憲法に戻した上で、新しい憲法を作るような、現憲法を無視した法的革命である日本国憲法無効論を良しとする大御心はないと僕は思います。
もし、変えるべき条文があるならば、
『その憲法のいろいろな条項がありますけれど,それに沿っていくということになる』
という大御心だと僕は思います。
○参考
改正の条文は以下のとおり
日本国憲法第96条
1 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。