【軍の統帥権について陸軍大学での教え】

『帝国の軍隊は皇軍にして、その統帥指揮は悉く天皇の御親裁により実行し或はその御委任の範行せしめらるるものとす。
統帥権の行使及びその結果に関しては議会において責任を負はず、議会は軍の統帥指揮並びに之が結果に関し質問を提起し、弁明を求め、又はこれを糾弾し、論難するの権利を有せず。』
(陸大で教えられた 『統帥参考』より)

陸軍の軍事行動、作戦、その戦闘報告などの全ては、議会とは関係がなく、批判、疑問、それに報告要請にさえ応じる必要はないとされました。
つまり軍事に関しては、他の統治権からどのような干渉も受けない、独立した権限として成り立ちうるという考えでした。

昭和に入ると、この「統帥」の名の下で、陸軍は政治の上に君臨する強力な権限を作り上げていくことになりました。実際には、統帥権を行使できる立場の軍人は、ほんの一握りです。その一握りの軍人が、実質的な統帥権を掌握できたということです。
そして、天皇陛下が本来行使する権限がある統帥権は、実質的に一握りの軍人により行使され、しまいには天皇陛下の御意志を無視するようになってしまったところがあります。

この「統帥」が陸大で徹底的に教えられたという事実は押さえておかなければならない歴史です。