【満州事変 軍部の動きと天皇陛下のご憂慮】

昭和六年九月十八日に始まった満州事変は、若槻内閣の不拡大方針にもかかわらず、関東軍が独断専行したことを心配され、側近の侍従兼内大臣秘書官岡本愛祐氏に次のような憂慮の念をもらしておられます。
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「自分は国際信義を重んじ、世界の恒久平和のために努力している。それがわが国運の発展をもたらし、国民に真の幸福を約束するものと信じている。然るに軍の出先は、自分の命令をきかず、無謀にも事件を拡大し、武力をもって中華民国を圧倒せんとするのは、処何にも残念である。ひいて列国の干渉を招き、国と国民を破滅に陥れることとなっては真に相済まぬ。九千万の国民と皇祖皇宗から受け継いだ祖国の運命は、今自分の双肩にかかっている。それを思い、これを考えると、夜も眠れない。」

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これはまだ大東亜戦争開始十年前の昭和六年昭和天皇三十歳のときのことです。三十歳にして、国難を憂慮されるお立場を想像すると本当に大変な時代だったんだなと思いました。
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○まとめ

【昭和天皇のお立場】
①昭和天皇ご自身は極めて平和を愛するお人柄であり、終始国際協調による世界の平和と人類の幸福を願っておられた。
②そのため軍部の動きをご憂慮されるとともに、なんとか戦争を避けたいという考えでいつも努力されていた。
③こうしたご心情ではあったが、政治的にはあくまで立憲君主制の立場を堅持して言動されていた。