【皇室会議と問題点】
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皇室会議は、皇室典範に基づき、皇室の重要事項を審議決定する機関です。皇族2人、衆参両院の正副議長、内閣総理大臣、宮内庁長官、最高裁長官、同判事の10人で構成され、内閣総理大臣が議長となります。

審議事項は皇位継承順位の変更、立后及び皇族男子の婚姻、皇族の身分の離脱、摂政の設置及び廃止、摂政の順位の変更。皇太子ら男子皇族の結婚は皇室会議の議を経なければなりませんが、女子皇族は、結婚とともに皇族の身分を離れるので、その必要はないと定められています。

このほか、皇室の経理に関する皇室経済会議が皇室経済法に基づき置かれており、皇室費のほか、女子皇族の結婚・皇籍離脱や男子皇族の宮家独立の際の一時金支出などを審議する。議員は衆参両院の正副議長、内閣総理大臣、財務大臣、宮内庁長官、会計検査院長の8人です。

①構成,互選による議員の任期(皇室典範第28条・30条・32条)
* 1 議員・・・10人(皇族2方,衆・参両院の議長・副議長,内閣総理大臣,宮内庁長官,最高裁判所長官・同判事1人)
* 2 予備議員・・・10人
* 3 皇族及び最高裁判所の判事たる議員及び予備議員の任期は4年

【議員】
    *  皇族2方
    *  衆議院議長
    *  衆議院副議長
    *  参議院議長
    *  参議院副議長
    *  内閣総理大臣
    *  宮内庁長官
    *  最高裁判所長官
    *  最高裁判所判事

  【予備議員】
    *  皇族2方
    *  衆議院議員
    *  衆議院議員
    *  参議院議員
    *  参議院議員
    *  国務大臣
    *  宮内庁次長
    *  最高裁判所判事
    *  最高裁判所判事
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○問題点
衆院議院運営委員会は、皇位継承順位の変更などを審議する「皇室会議」の予備議員の一人に、菅直人元首相を選出することを了承しました。
今国会の本会議で正式に選ばれる。予備議員は衆院正副議長経験者を充てるのが原則でしたが、野党第一党の立憲民主党は副議長を務めた川端達夫元衆院議員ら該当者が引退したことから、菅氏を提案し、例外として認められました。首相経験者の選出は異例です。
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皇室典範に従い、皇室会議の議員は事前に決められています。一方、議員に事故のあるときや議員が欠けたときに職務を代行するものとして予備議員も置かれています。さらに皇族の代表は、みずからの利益に関する議題には「参与」できないと定められています。
皇族を代表する皇室会議の議員として、秋篠宮殿下と常陸宮妃華子殿下が議員となっていましたが、陛下の退位に向けた特例法で、秋篠宮殿下の生活のための予算を現在の3倍の金額にすることなどが盛り込まれました。この結果、今回の会議には秋篠宮殿下は参加されないことになったのです。

そして今回は、秋篠宮殿下に代わる、皇族の代表として予備議員の常陸宮殿下がご出席されました。このほかは議員に就いていた、常陸宮妃華子殿下、そして安倍総理大臣、大島衆議院議長、伊達参議院議長、寺田最高裁判所長官の三権の長のほか、赤松衆議院副議長、郡司参議院副議長、最高裁判所の岡部判事、山本宮内庁長官が列席しました。
また菅官房長官が説明員として陪席しました。議員でない官房長官が会議に出席するのは史上、初めてのことでした。
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『皇室会議のメンバーというのは、成年皇族、総理大臣、衆参の正副議長など、誰がなるのかが皇室典範によって厳密に定められているのです。菅氏が選出されたのは、赤松広隆衆院副議長(立憲民主党)が欠席の際に代理出席する“予備議員”という立場ですが、この予備議員でさえ、誰でもいいというわけではないのです。同じ立憲民主党内で、副議長を経験した人でないと原則なれないのでが……』

という声も上がりました。無論、菅氏はこの役職は未経験です。
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ちなみに、現在の皇室典範の性格は、皇室典範は法律であり,その改正手続きは他の法律と異なるところは なく,国会の議決以外に特別な手続きを要しません。
法律の基となる法律案を提出できるのは、国会議員(衆議院議員、参議院議員、両院の委員会等)と内閣です。

法律案は、衆議院と参議院の両院で別々に審議され、原則として両院の意思(議決)が一致すると法律として成立します。