【昭和天皇万歳】
〜昭和天皇の涙〜
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昭和六十一年（一九八六年）四月二十九日。天皇陛下御在位六十年記念式典が、東京・両国の国技館で皇族、各国大使、各界代表六千人を集めて行われました。
中曽根総理大臣の式辞のあと、衆参両院議長、最高裁長官らの祝辞が続きましたが、このとき昭和天皇の頬に一筋の光るものをカメラはとらえていました。
〈陛下の頬を涙がつたったのは、木村睦男参議院議長がこう祝辞を述べている最中でした。
「……大戦勃発の直前までもひたすら平和を願い給う大御心をお示しになられましたことを洩れ承り、今尚感激を新たに致すのであります。この大御心があればこそ、終戦に際し、御一身の御安泰をも顧みられず、戦争終結の聖断を下され、有難き玉音は電波により津々浦々に伝えられ、国民は涙とともに平和回復の喜びに浸ったのであります」
このあと、昭和天皇は六十年の歳月を振り返って、「先の戦争による国民の犠牲を思うとき、なお胸が痛み、改めて平和の尊さを痛感します」と述べられました。
また、それより遡り、三十八年八月。「還暦を越えられたご感想は」に答えられて昭和天皇は次のご回答をされました。
「特別な感想はない。しかし、六十年生きてきて、なにひとつ立派なことができなかったことを悔いている。これからは、国民のためにできる限りのことをしていきたい。同時に、国際親善のために尽くしたい。世界の平和を強く祈っている」
戦争に始まり、破壊、多くの国民の死、そして復興の努力、そして経済復興と激動の昭和時代、あの時代に天皇陛下のお役目を果たされた昭和天皇の御心をお察しすると、僕は感謝の気持ちで一杯になります。
