狂気VSモンスター | 次郎長ブルース2

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ロッカー・次郎長 の、気まぐれなブルース


井上とネリのタイトルマッチが近づいてきた。
俺の予想は、、
4〜6Rあたりまでの井上のKOとみる。 

 ネリの加速してゆく連打は確かに危険だが
あらためてネリと井上の過去の試合を見比べてみると やはり井上のほうが総合的にまとまっている。
特に下半身のブレのなさは超人的だ。 

 ネリは確かにとても魅力的な攻撃を行うが、全体的には井上のほうがよりスピーディだ。  
もちろん、ボクシングの場合、スピードがあるから必ずしも有利とは限らないし、さほどスピードがなくても辰吉を破ったラバナレスのように、一見緩慢だが独特の間合いがあるためにスピードスターが調子を崩されて攻略されるケースも少なくはない。 
要するにいかに相手の意表をついたタイミングでパンチを叩き込めるか の競技なので。 

 でもやはり 井上のように体全体がひとつのバネのようにまとまって動くのを見ると
やはりネリの倒される姿がうかんでしまうのだ。 
 今回、もちろんネリのモチベーションは過去最高とみるべきだが
しかしそれは井上チャンプにとっても同じで、自身がメインをつとめる空前絶後のドームイベントへのプライドは相当なものがあるはずだ。 
ただでさえ普段から油断のカケラもないモンスター、

唯一穴があるとすれば やはりラッキーパンチだろう。 

ネリのパンチもまたあなどりがたい。 
 俺的には 連打でたたみかける時の 少し体が開くクセだけが心配材料だ。
(ただ、、それは過去の試合をみるかぎり、相手とその場の状況によるもので、根っからのクセではないのだが。。) 
 ネリの加速する連打は脅威だが 井上を攻略するにはなおまだスピードが足りない気がする。 

 なぜ4〜6RのKOとみているかというと
それは
前回のタパレス戦で 4Rに倒したものの、その後後半戦までもつれこんでいるからだ。 
あくまで想像だが そしてネリの出方次第と前置きした上でだが
井上はおそらく、↑をふまえて「じゃあそのたありできちんとケリをつけてさしあげますよ」と思っているような そんな気がしてならないからだ。
だから。 

 ネリは うーん、普通なら結構怖いファイターだ。 
動物的な怖さを持っていると思う。
そして あの目からは狂気を感じる。
少なくともバンタム級時代のネリには、対戦相手のほとんどが 得体の知れない怖さ、恐怖をどこか感じていたはずだ。 
 日本の誇る、具志堅に次ぐV12の記録を持つ名チャンプの山中も
俺から言わせればおそらく ドーピングや体重超過によってネリに敗北を喫したのではなく どこかネリに得体の知れない怖さをもってしまっていたがために後手にまわって負けた という印象だ。 

 同じような目、怖さを見ていて感じた選手がもう一人いる。
随分昔の話だが 日本人初のミドル級王者になった竹原慎二の初防衛戦の相手、ウィリアム・ジョッピーだ。 
 あの試合は じつは竹原はもう網膜剥離の症状がでていたのもあっての王座陥落というのが知られているが、
俺的には、、、
 当時リアルタイムで見ていて、
ジョッピーのもつ得体の知れない怖さと あの狂気を感じさせる目に 竹原は飲まれていての敗北 と映っていた。。 
ネリには あの時のジョッピーと同じような狂気を感じるのだ。 
 その狂気と 無慈悲に獲物に食らいつく爬虫類のような冷酷な目が 果たして井上を食らうのか、、、
俺的にはそのあたりがこの試合の見どころだ。 

ただ ただ、、 

精神力や冷静さを含めて、井上というボクサーは
その名のとおりモンスターだ。
ジョッピーやネリの狂気は モンスターからすればただの獲物にすぎないかも?しれない。。 
多分だが

今の井上チャンプを狂わす可能性を感じさせるほどの狂気をもったボクサーがいるとすれば、、、

少なくとも俺の知るかぎりでは、、 
あのニカラグアの貴公子、アレクシス・アルゲリョを2度にわたって沈めた アーロン・プライアーくらいしか思いあたらない。 
もしくは マイク・タイソンか。 

しかしもし、もしもあのマービン・ハグラーとマイク・タイソンが同一階級だったらば
やはり総合力的にハグラーがタイソンをおさえるだろう。 
ジョン・ムガビを封じたように。 

総合的にみて ネリの怖さはやはり、あくまで不確定要素の部分なのに対し、
井上の怖さは スピードからテクニックから攻撃の精度やインテリジェンスにいたるまで、確定的な確かな要素に裏打ちされているために、
ラウンドが進むにつれてネリは策を封じられていくように思うのだ。 

多分 それが井上の狂気。 

せめてアーロン・プライアーのレベルの まるで覚醒剤でもキメているのかと疑いたくなるような狂気をもってこないと、
モンスターは仕留められない、、 


そんなふうに 思う。


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