おはようございます!

当地は雨です


寒い


急に冬になってしまった


さぶっ(夏からかわらぬ格好だから)


衣替えしよ




「愛してるなんてくちにしたことない」


「私達の世代は家族のために

ひたすら、はたらくことが

愛をしめしていました」


「まして、てを繋いで歩くとか

ありえないことです」


「こんなふうに妻の手をにぎるなんて

はじめてです」


「こんな細い手だったんですね」


「家事も育児もすべてやらせてしまった」


「旅行にもっといくはずだったのに」


「何もしてやれなかった」


「これからどうすればよいのだか」




そう言ってくちをつぐむ


妻はある日、脳梗塞をおこし

会話どころか食事もできなくなって

しまった


がんの経過中には

ときに予想の難しい症状が

おきることがある



夫は

何もわからないままに

なってしまった、と悔やむ


話したい時に話す


伝えたいときに

つたえる



あなたが大切なひとであることを

伝える


簡単なようで

難しい




夫は

慣れない洗濯をおこない

妻の足をマッサージし


何ヶ月かすぎるころ

パジャマは

きれいにたたまれるようになった


味噌汁もさかなもやけるように

なったころ



妻は静かに旅立った



その表情はおだやかで

すべてわかっているわ、と

語るようだった






ひとは複雑


心は複雑


だからこそ


にんげんなんだ