「確かにつらいけれど」

 

「今はつらいけど」

 

「思い返せば、楽しい時が

嬉しい時が多かった」

 

「それなのに」

 

「なんで泣けてしまうんだろう」

 

「楽しいことが多い人生だったのに」

 

「こんなに苦しいって思ってしまう」

 

「周りが妬ましくて」

 

「ついにはカミさんのことまで

お前は元気でいいな、気楽でいいなって

言っちまったんだ」

 

 

「ああ、なんてやつなんだ、僕は」

 

 

「こんなに心が狭いなんて

思いもしなかった」

 

 

「もう嫌だなあ」

 

 

 

ふーっとため息を吐いて

目を閉じる

 

 

 

気持ちがわかるなんて簡単には言えない

 

けれど

察することはできる

 

人間だから

 

 

 

 

 

雨がしとしと降る日だった

 

 

 

雨の日

 

 

いろいろ考えてしまう

 

 

その後も他愛ない話をしたことを思い出す

 

 

 

人生ってさあ

 

儚いね

 

楽しいことに目を向けるのではなく

 

どうして辛いことの方に目が向くのだろう

 

多分命を守るために

安穏としていちゃだめだよっていう防御なんだろうけど

 

 

楽しかったこと

嬉しかったこと

 

 

それらを素直に

喜べる

 

素直に幸せだと

思える

 

 

そういう人生を送りたいと思う

 

 

 

せめてこれからは。