患者さんが

 

緩和ケア病棟で過ごしたい、と

話した

 

 

すると

 

「僕たちはあっちに行かなくてもいいように

頑張ってるんだから」

 

「あなたにも頑張ってほしい」

 

主治医は

そう言ったそうだ

 

「もうじゅうぶん頑張ってるんだから

これ以上どうやって頑張れっていうのでしょうね」

 

寂しそうに呟く患者さん

 

 

「10年病気と共に過ごしてきた」

 

「最初に診断されたとき、1年もてば、と言われて

その後も1年1ねん過ごしてきたの」

 

「この病院には緩和ケア病棟があるって

思ってきた」

 

「だから安心して頑張ってこれた」

 

「先生が頑張ったって、私は治らない」

 

「私はまだ頑張るよ。でもそれは私が頑張ること」

 

「この前あなたが頑張ってるじゃないですか、もう十分にって

言ってくれたでしょ?」

 

「嬉しくて。わかっていてくれる人もいるんだなって」

 

 

背中をトントンとしながら

雨がよく降りますね、と

同じ外を眺めていた

 

 

 

 

 

主治医はこういった

 

「僕らは緩和ケアに行かないように

頑張ってるんすよ」

「あっちいったら終わりっすからね」

 

 

そうかあ、そう思うんだあ

 

 

なぜか

なんの感情も湧かなかった

 

 

ただただ患者さんの心を守ることに

徹しようと考えたからか

 

そのお医者に対しては

なんの感情も出なかった

 

 

 

 

終わりかあ

 

どこにいても終わりが来るなら

 

その時までの生き方を

 

患者さんが決めた方がいいと思うのだ

 

 

 

 

勝ち負けじゃないんだからさ

 命について学び直せ、な?




 

 

最近ちょいと患者さんになってるんだけど

 

患者さんの椅子に座ると

 

聞きたいことの半分も

言いたいことの半分も

言えないものだ、ということを

痛感してる

 

まして

 

もひとつ聞きたいと思っても

 

表情を見て

あ、今言っちゃダメな時と

思うと

もう言えない

 

 

そして

消化不良のまま診察終了

 

わからなかったことは

どうする?

 

 

そう、得意の

ネット検索ですよ

 

 

おおーっ

 

こういうことか

 

よくわかった

 

 

自戒を込め

じぶんの診療に活かしていくよ

 

 

いやいやその前に

患者さんが意見を言うには

質問するにはどうするといいかも

身をもって体験していくよ

 

 

長らくの体調不良の原因が

もう少しで

判明しそう

 

受診してよかった