やっぱり

魂はあるんだ、と

感じたこと



ある患者さんが、緩和ケア病棟に

入院した翌日


「この病院には中華料理店があるの?」


なぜですか?と、問うと


「赤い服の中国の衣装をきたひとが
夕べたずねてきて」
「心配ないよ、って話しかけられてね」



病院にそんなおみせあるはずないね、
食いしん坊だから、ゆめをみたのね、と
微笑む




わたしとスタッフは
すこしだけ
こわばっていた



なぜなら




前日に赤い中国の衣装をまとって
患者さんが旅立ったから。




その方が知る由もない

ぜったいにない



故郷の中国の服で旅立つの、と
きめていた


凛と


旅立った


のを、みおくったあとだったから







こんなことってある?




私達は
ふるえた


怖さではなく


なんとも言えない感覚


きっと
見守りにきてくれたんだ


病棟のことを大好きと
言ってくれていた


中華料理店を営んで
病気を機に
閉店したことが
悔しいと涙した


たった一度だけ涙した


治療は数年にわたり
最後は緩和ケア病棟にと早々とエントリー


自分の
思い描いたとおりに
旅立った







それ以来

そういう経験はない



しかし

わたしは

それ以来

信じる


魂はあるということ





わたしのとこには
両親もでてこない

妹は夢で会うらしい

あっちに行ってから会うから

いいけどさ