親にとっては

子供はいつまでも、子供

だけど

大切なことは

本人の気持ち




バリバリに社会人として働いていた

女性が

結婚し

母となり


何もかも順調であったある日




病気が

みつかりました



「神様は不公平」



ぽつりと話し

涙にくれたのは


1日



翌日からは


何ごともなかったように

たんたんと

過ごされたそう



お母様はその時を

ふりかえり、強い子だと感じてしまったそう






それは

彼女の優しさだった

彼女の強さだった

でも

壊れそうになる心を覆う

マントだった




治療は

うまくいき

何ごともなくすぎていたある日




緩和ケアにかかってみたい、と

緩和外来に

いらっしゃいました





笑顔ではきはきと

話されるけれど

どこか、はかなげな

どこか、さびしげな



他愛のない話をして

初対面のひとに

話なんてしないよね、

時間をかけなきゃ、なんて

考えていたとき


「ずばり聞きますね」

「わたし、かわいそうですか?」






「母がかわいそうだって

泣くんです」

「泣きたいのは私」

「涙を流してわんわん泣きたい」



「母は私の子にも言うんです」

「かわいそうにって言われて育つ子の

気持ち」





もうはなみずとなみだと

いっぱいになりながら

話しつづける




「かわいそうっていわれたくないの」


「かわいそうじゃない!」

「私の運命」

「生きるしかないでしょ!」


「子供も、かわいそうな子って思われながら

育ってほしくない!」




「もう嫌だ〜!!」


「ほんとは病気なんて嫌だ〜!!」


「なんでわたしが?」






静かに時が流れる





落ち着いた彼女は


「ごめんなさい」

「とりみだした」




「わたしは子供に全部みせよう

伝えようと思っています」


「母はそれをとめるの」


「それで喧嘩に」






「どうおもいますか?」




(わたしは、あなたを支えたい)


(白衣を脱いだ私でも

私もおなじように考える)


(でもおかあさんもあなたのことを

あなたがおこさんのことを心配するように

心配しているのだとおもう)



(でもあなたを支持するよ)




(あなたのお母さんもお子さんも

支えさせて)






👀から涙がとまらなくなる



「母にとってはわたしは娘」



「それに気づけなかった」









先生

ありがとう


そう言って

抱きついてきた




「ここにきてよかった」





「母に感謝を伝えなきゃ」




そうね。

無理しすぎないのよ




「はい!」




生きるよ!



「うん!」