代替療法にはまり


標準治療をさけてきた患者さん


手術をうけてから

化学療法をうけていたが


主治医と折り合いがわるく

いつしか

通院されなくなった




病勢は

とまらず


くるしくてくるしくて


ある日呼吸困難となり

救急車で

はこばれてきた


抗がん剤は効果が乏しくなったと

判断された日

ある代替療法を相談した


「民間療法を、やるのは勝手だけど」

「緩和の方が、いいとおもうよ」


そう治療医は言ったそうだ


それを聞き

全てを否定され

みはなされたように

感じてしまい

病院をはなれた



代替療法に

たくさんの、おかねをかけた

こころは落ち着いた



が病勢はつよまるばかりだった

つらくても

病院に行けなかったと

彼女は話した



「つらかったよ。でも

病院にはいきたくなかった」



なぜ、こういうことが

おきるのか


たぶん、ちょっとした

ボタンのかけちがい



ものの言い方



その代替療法を

そうだんできる医療者がいて


あたまごなしに

ダメというのではなく


一緒に考えるよ、と

言ってくれる医療者は

そばにいなかったのかな



一人で孤独だったろうに


情報に踊らされるかたちに

なってしまったこと

それが悔しいとかんじる




ひとは

情報をえるとき

しりたいことを

しるようにできていて


緩和ケアについて


ポジティブにしらべればそうなるし


ネガティブにしらべれば

そういうのばかり

でてくるように

なっている


緩和ケアについても

調べてくれれば

よかったのに





「緩和ケアを誤解していた」

「主治医に勧められたとき

殺す気か、、って息子が怒ってしまって」

「ちがうんだね」

「もっとはやく会いたかった」



「ずっとつらかった」



そう言って

彼女は泣いた




しばらく泣いた




「あとは病院で死にたい」


「勝手にやめておいて

最後は病院でって」



「わがままだね、勝手だよね」



泣き続けた





何ヶ月分の涙だろう





泣いていいよ



つらかったね






静かな時が私達を

つつんだ







昼寝