言葉には言霊があります

 

だから

 

起きて欲しくないことや

不安については

 

口にしない方がいい

 

 

 

そんなこと〜って

思うかもしれません

 

でも

そう感じる事は多いです

 

 

逆に

 

起きて欲しいこと

強く願っていることは

口にしてみてもいいかも、と

思います

 

口に出すことで

がんばろうと思えたり

言葉にすることで

その目標が明確になったり

 

 

食事が数口しかとれないと

嘆く患者さん

 

胃がんで胃を全摘しているので

少しずつの食事を

もともとわけてとるように

されていました

 

 

「おかゆが数口しかとれないんです」

「おかずもちょっと」

 

 

はあ、と深いため息をつく患者さんの横で

 

娘さんがほがらかに

 

「いつもこういうんですけどね」

 

「みているとたしかにおかゆは数口です」

「おかずは食べにくいときもあるのかな

ホントに数口」

 

 

でもね、お父さん、と

 

「お菓子は食べてるよ」

「あと果物も」

 

 

「だから合わせると数口以上です」

「普通の食事まではいかないけれど

合計したらいつもの半分以上は

食べられています」

 

 

患者さんはそれまでうつむいていたが

ふ、と顔をあげ

 

「そういわれてみればそうだなあ」

「小さな和菓子の詰め合わせみたいのが

おいしくてね。これまで、和菓子なんて

たべなかったのに」

「あんこが美味しいね」

 

 

「そうだね、いわれてみればそうだね」

 

娘さん、にこりとほほえみ

 

「おかゆだけが食べ物じゃないもの」

「お父さんは上手に食べてるよ」

 

 

私はほほ〜とうなずきました

 

 

 

 

素敵なご家族

 

本人を上手にささえている

 

事実は事実で話しながら

できていることをきちんと

言葉にされる

 

 

素敵だなあ

 

言葉遣いが

素敵だなあ

 

 

 

 

後に娘さんからお話を伺った

 

「言葉ってほんと、簡単に人を傷つけますよね」

「言っている本人はそんなつもりはないけど」

「父に言われて気づいたんです」

 

 

「父がね

なんてことないことのようにお前は言うけれど

お父さんにとってはすごく大変なことなんだ。

もっとたべなきゃって 簡単にいうけど

食べなきゃってわかっていても食べられない

お父さんの気持ち、わかるかって」

 

「できてないできてない、っていうんじゃなくて

できた方にも目をむけてほしいって」

 

「たしかに押しつけていたなあと思いました」

 

 

「最近は父の方が、これができなくなった

あれができなくなったって言うようになって

立場が逆転しましたけどね」

 

言葉は優しさにも刃にも

 

同じ言葉でも

話し手の聞き手の

その場の

時間や雰囲気やその他で

 

優しさを与えたり

不安を与えたり

 

刃にもなったり

 

 

 

気をつけないといけません

 

診療だけでなく

日常生活でも

 

 

大切にしないといけないな、と

感じています

 

みなさんは今日どうやって過ごされますか?

 

連休でコロナが広まりませんように・・・

 

 

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まだ寝る〜