八つ当たりさ



思い通りにいかないと

叫びたくなる



あたりちらしたくなる



もちろん人を傷つけてはいけません



自分も傷つけてはいけない



けれど


ひとには

強いちからがあります



良い意味でも悪い意味でも、です



認知症のお母さんを


自宅でみている息子さんから

電話があった



「母を殴ってしまいました」


「もうとりかえしがつかない」


電話の向こうで泣いている



落ち着いて病院に来て欲しいと

伝えた


患者さんには外傷はなく

CTでも問題はない



患者さんはにこにこしている



息子さんは

小さくなって



「すこしあたまをたたいてしまいました」

「とりかえしがつかない」




「母がずっと笑顔でいるのが

辛くなってしまったんです」


「ことの重大さがわからない」



「やってられない!」


「そう感じてしまいました」






「もうしません」


「虐待…」




幸い何事もなかった



今回は

そのまま帰ることに






帰り際


患者さんはつぶやいた


「わるぎはないんだよ」




患者さんは何かを

察している



息子さんにたよりきっていることを

知っているから




八つ当たり



したくなる



その気持ち



苦しいほど察する






すやすや


介護

看病



八つ当たりもわるくないサ


ほんとに苦しい

孤独だよ


でも

てをだしたらいけないね