80代の患者さん

足が動かなくなった
歩けない、と
救急搬送


骨転移による
脊髄圧迫であった


認知力も保たれている

「なんでこんなことに?」
「いつになったらあるける?」
「安静にしているのはいつまで?」


肺がんであることは
知っておられる
(抗がん剤治療もしていたくらい)


本人にある程度伝えたほうが
過ごし方を考えられるのではないか、と
考えた



1人の子供さんが
「伝えない方がいい」
「伝えたら落ち込んじゃう」




患者さんは
なんで?と
来る人来る人に
質問する


でも
だれも要領をえない




多分なんだかおかしい、ってこと
自分でもきづいておられたに
ちがいない

不安だったに、ちがいない


ある日の夜

せん妄を発症した

「いい加減にしろー」
「ここから出せー」
「みんなしてだましてるんだろー」

「いい加減にしろー」



こうなると
お薬でひとまずの
脳の興奮をとってあげないと
いけない

しかし
薬も拒否
「毒だー」
「だまされないぞー」


点滴もひっこぬき
ナースコールもひっこぬく


緩和ケア病棟は
抑制をしない


仕方がない。
注射をおこない、興奮を
しずめることとした

「いってーなー!なにするんだ」

そういいながらもだんだん興奮は
おさまった


翌朝

「私なんか昨日迷惑をかけたねぇ」
「悪かったねぇ」
「あばれた?ような気がするの」


大丈夫。
だれも悪くないから
体調がわるいだけだから


「私ぼけた?」
「もうおしまいだ」

しくしくと涙をながしはじめてしまった



せん妄

認知症ではない

時間により、日により
意識状態が変動する


一見鬱病や認知症と間違えられることも
ある

一番つらいのは

本人が
おかしいと感じていること
頭が変になった、と
感じていること

だからこそ
早めのケア
早めの調整


せん妄という症状は
痛みや苦しみを
取り除いてしまうので
動けてしまう

が、身体は
消耗し、体力を
奪われる


だからこそ
精神の安寧をはからねば
ならない


せん妄は
焚き火にたとえられる

薪は準備因子
ライターは直接因子
油は促進因子


つまり
薪は高齢だったり、認知症があったり
脳に器質的な疾患があるなど
なかなか治癒ができない原因、状態


ライターは病気や薬、電解質異常など
せん妄を引き起こす薬や病態

油はそれらを加速させる
環境だったり、痛みだったり
尿意だったり、不安だったり




せん妄の調整は

薬!って思われがちだけど

大切なのは
促進因子をひとつでも減らすこと
はやめに
治療できることはすること
薬が原因なら他のものにかえること


不快を快に

たとえば不安がなくなるだけで
せん妄が軽減する




先の患者さん

骨に転移がありその影響で動けないことを

家族の方もいらっしゃる前で
伝えることにした


「なんだがぎゃくに安心したわ」

「そうよね。じゃあ足は動かないわね」

「なんだかすっきりした」



その夜
せん妄は生じなかった


患者さんのために何が必要か

やっぱり
真摯に考えないといけない


せん妄に気づくアンテナを📡



やせた?
一週間後に体重測定よ

散歩長めにしてるから
やせたはずよ!

あと一週間あるわ!


ジロウが
前ほどよる熟睡しません

これも
睡眠障害ね