認知症の夫の世話をつづける

 

 

その妻が

突然病に倒れました

膵臓がん

これからは抗がん剤治療を

しばらく行うことになりました

 

ご本人は気丈にふるまわれ

落ち着かれている

 

ようにみえました

少なくとも主治医には・・・

 

 

子どもさん達は

遠方に住み

それぞれに家庭もある

 

 

ある日

長女さんと一緒に

緩和ケアの外来受診を希望され

消化器内科の受診が終わってから

お会いすることに

 

 

診察室に入ってくるなり

ご本人は涙がとまらなくなる・・

 

 

「体調が悪かったのは半年くらい前からです」

 

「でも夫の介護があるし」

「夫は私の体調のことなんて

きづかうこともできないから」

「早く飯をつくれ、なんで寝ているんだ」

 

「今回もあまりにつらいから

うごけなくて娘に連絡して、無理をいって

きてもらって」

 

「で、受診したらこんなことに・・・」

 

「本音を言ってもいいですか」

 

「もう死んじゃいたい・・・・」

 

 

おかあさん・・・と娘さんが

つぶやく

 

 

 

 

そんなときは

普段はきにならないエアコンの音が気になる

 

 

 

どれくらいの時がすぎたか

 

 

「先生?抗がん剤ってつらいんでしょう?」

「そこまでして生きる意味がありますか?」

 

「私はだれのために生きているの?」

 

「お父さんの世話をするために

これまでも全部犠牲にしてきた」

「どこも行っていない」

「だれのために・・・・」

 

 

抗がん剤については、副作用対策もするし

色々な調整もして、なるべく日常生活への

影響が少なくなるようにすることが

可能であること

 

その一方で

 

どうしてもつらく

日常をおくれないようであれば、

量の調整、間隔の調整などを

主治医の先生が考えて下さるであろうこと

などをお伝えした

 

 

そして

 

夫のこと

 

娘さんはどう?と

声をかけると

 

「父はデイサービスにいきたがらないんです」

「でも、これから母が入院することを

考えると、手続きしておかないと、と

思います」

「認知症の診断を受けている先生に

今日相談に行くつもりです」

 

色々考えて下さっている・・・

 

 

ご本人はすこし

落ち着かれたよう

 

 

「とにかく一度治療をうけてみて

副作用がつらかったら抗がん剤の

治療をうけないことにします」

 

 

「あと少しの人生なら

限りのあるある人生なら

ほんの少しだけ

自分の好きに生きたいの」

 

 

「お父さんのことたのむわね」

と、娘さんに話す患者さん

 

 

 

 

次回は化学療法センターに

うかがいますね、と伝えた

 

帰り際

娘さんがふ、と振り返り

話す

 

「あんなに泣いた母をみたのは

はじめてかもしれません」

「私も父のこと気にしながらも

全部母にまかせていた・・・」

 

 

「これからは妹たちとも連絡をとって

母を助けるようにします」

 

「父も母も大切に思っているんです」

 

 

ぺこり、と頭をさげ

帰られた

 

 

 

 

家では話せないようなことも

あえて医療者がいるからこそ

互いの気持ちを言えることもある

 

 

 

うん、緩和ケア外来は

やっぱり必要

 

 

ですよね?

 

 

さあ、みなさま

休日をどうすごされますか?

 

 

今日は庭にお花を植えてみようかな

 

今年はパンジーとかビオラとかうまく咲いている!!

あ、私にしては、です・・・

 

自分を犠牲にして生きていくことも

大事なときもあるのかもしれないけれど

 

すこしは自分らしく

自分の想いのままに生きていい

 

家族のためにこれまで生きてきた

すこしだけでも

自分らしくいきられることを

そして家族がそれを無理しすぎずに

支えていけるように

私達が支援しなければと

思います

 

 

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