後期高齢の患者さん

 

子どもさんが3人

 

患者さんは肺がんで

骨転移を生じていた

 

年齢を感じさせない

しっかりしたご婦人

 

すでにご主人を同じ病で亡くされていて

 

患者さん自身ご自分の病気の

経過はよくご存じであった

 

 

背中の痛みがあり

検査をされたところ、CTで

異常がないから、よくわからないから

緩和ケアチームに紹介になった

 

CTを確認すると

骨転移が認められた

〈ちなみに院内紹介状の記載は

痛みの原因不明、落ち込みやすく

そのために心因性の部分が大きいと

思います、とのことであった〉

 

そのことを本人にどう伝えるかで

ご家族の意見がわかれた

 

主治医は

“家族に許可をもらってから

伝えるかきめたい”

 

長男長女は

“伝えない方がいい”

”父親のときみたいになるのを

母は知りたくないだろうから”

 

次女は

“頭もしっかりしているし

痛みの原因を知った方が

生活できをつけるだろうし”

”何より自分のことだから

お母さんが知りたいと思う”

 

 

私としては、

ご本人が認知症があるわけでもないし

そもそも痛みがあるし

肺がんの治療をしていたことは

知っているわけだから

なぜ本人に伝えないのか

大事な本人の個人情報

 

 

なぜ先に家族に伝えようとするのか

それがそもそも・・・とは

思うけれど

 

だめだめ

緩和ケアチームは黒子だからね

そっとみまもる

あくまで支える

 

ある日

ご本人が口にされた

「ねえねえ、この前の検査の結果って

どうだったか知ってる?」

 

何の?といいながらとてもあせった

何の、もなにも

この前の痛みの時の検査のことだ

 

(なにかきいています?)

 

「それが、〈主治医の〉先生もなにも

いってくれなくて」

 

(自分ではどう思いますか?)

 

「そうねえ、良くないわね」

「痛みはラクになってるけど

これはお薬のおかげ」

「なにかあるわよね」

「足のちからがはいりにくいから

多分骨よ」

 

 

あるけなくなったら

おしまいよね・・・

 

力が入りにくいの・・・

 

 

ご家族に

伝える伝えないの前に

きちんと病状を伝え

対応したほうがいいとおもわれること

 

何より患者さん自身は

結果を知りたがっていることを

伝えた

 

”緩和ケアチームの分際で”

主治医にいやな顔をされたが

患者さんのため、とこらえた

 

それより患者さんが

放射線治療をうけられる機会を

逃したくなかったのだ・・・

 

 

緩和ケアチームの分際でって

そもそもパワハラ感が満載なんだけど

あなたが

撮るだけとって

痛みの原因はなし、と判断していたんでしょ、って

言いたくなるが

そこはがまん

 

 

 

しかし

 

結局

本人に事実は伝えられず

結局

下肢不全麻痺となり

ベッド上の生活を余儀なくされた

 

患者さんも

だんだんに言葉を発することはなくなって

 

 

しかし

私は

何とも言えない

悲しみに襲われた

 

 

治るかもと

必死に耐えている患者さんをみると

 

 

治らないけれど

 

そりゃあ完全には治らないけれど

 

患者さんの知りたい気持ち

自分のからだの事を知ろうとすること

それを妨げること自体が

 

大きな問題だと

考えている

 

 

”伝えると落ち込む”

”それだけで病気が悪化する”

 

そりゃあバッドニュースだから

落ち込まない人はいない

 

でも家族のささえや

医療者からのバックアップなどが

あれば

一般的に立ち直るまでの時間の

最短2週間はかかったとしても

すこしは前をむけるかもしれないのに

 

 

日本は

なぜか

家族に告知をする傾向がある

 

 

ある人に

“自分だったら知らせて欲しいか”と

問うと

「知らせて欲しい」という人がおおいけれど

 

”大切な人の家族の立場であったら

本人に知らせて欲しいか”と

問うと

「知らせて欲しくない」もしくは

「まず自分にいってほしい」という人が

比較的多い

 

 

個だけでなく

家族の中の個をおもんじる

 

 

 

う〜ん

う〜ん

 

 

文化

 

 

適切に治療する機会もあったのに

 

 

そう思うと

悔しくて

 

自分のちからのなさを

思い知った

 

 

忘れられないエピソード

 

 

 

ごめんなさい

役にたてなかった

 

それでもね

こういう経験は

私に勇気をくれる

 

 

やっぱり

緩和ケアチームは黒子だけど

黒子なりに

働きかけていい

 

働きかけなければいけない

 

 

今のエネルギーには

なっている

 

 

うん。

 

そうだ

 

やっぱり

がんばろう

 

だれのため?

 

患者さんのため、ただそれだけ

 

image

 

少し前のこまちとジロウ

 

こまちはそんなにかわらないけど

ジロウは若い・・・かも

たるんでない・・・かも

 

いやん  

歳をかさねるって

こういうことか!!

 

そういうわたくしも

ひとつ歳をかさねました

おめでとう、私

 

知ってます?

40過ぎると一つずつ歳はへるんだそうです

ニヤリ