膵臓がん ステージ4と

診断された女性がありました

 

抗がん剤、治験、高度先進医療

補完代替療法、免疫療法

 

保険適応の治療から

保険適応外の治療まで

驚くほど

たくさんの治療を

おこなってきました

 

いったいいくらの費用が

かかるんだろう・・・

 

心配ないから

やっているのだから

私が心配することではない、と

私はあくまで痛みと吐き気の

症状調整を主に

行ってきました

 

しかし

効果はいずれも乏しい

 

 

夫の怒りは

緩和ケア外来のスタッフに

向かいます

 

「薬なんて、捨てました」

「痛いのは我慢すべきで

薬に頼るから免疫力が低下するって

免疫の先生が言ってました」

「すべて焼却しました」

 

本人はだまって痛みに耐えている

脂汗すら浮いている

 

ご主人の気持ちはわかるけど

本人に聞いてみてもいいですか?

 

「同じですけど」

「痛みなんて起きるわけがないんです」

「だいたい、治療はありったけ

してやってるんですから」

 

ご本人は血の気がひいて、

真っ青

 

横になりませんか?と

ベッドに誘導した

 

少し休むと赤みが戻ってくる

 

こんな状態でも

闘わなければいけないのか

いや、

本人の意思ならばそれでいい

でも

 

 

もし

それが夫の意思だったら

 

本人の希望はなんだろう??

 

 

“痛みはいまのままでいいですか?”

 

「・・・・・」

 

“せめて、頓服だけでももってかえりませんか?”

 

「はい・・・・」

 

いらないだろう!痛みは我慢すべきだって

△△先生が言っていただろう?

 

「そうだけど・・・ちょっと持って帰りたいな」

 

 

ほらまた、そうやってあなたが聞くから

妻が弱気になるんですよ

全く・・・

 

ふうっと

大きなためいきをご主人がついた

 

ご主人

「ま、いいですわ。もらっておくだけなら」

「つかわなければいいのだし」

 

先に会計すましてくるんで

やすませておいてください

 

そう言って

会計をせかし

足早に診察室をでていった

 

本人は目を閉じている

 

ご主人のいないところで

本人の気持ちをうかがっても

フェアじゃないな、と

 

かんがえていたら

 

小さな声で

 

「ごめんね・・・」

「一生懸命なだけだから

悪く思わないでね」

「つらい・・・からだがもう限界」

 

「友人がこの前亡くなって」

「今の私みたいだった」

「私、遠くないよ、その時がくるの」

「どうしよう・・・いまのままだと

だんなさんが・・・」

 

 

うううっと声をつまらせた

 

「もう家で二人でゆっくりしたいの」

「病院ばっかりでゆっくりできなかった」

「だんなさんに伝えようと思う」

「感謝してるのよ・・・あんな人だけど」

 

 

そうね

二人で話すのが一番

自分のきもちを話せるといいですね・・・

 

 

夫がもどってきて

 

「さ、かえるぞ」

「こんなとこ、空気がわるい」

 

あっという間に連れて帰ってしまった

 

 

 

 

 

 

その後

風のたよりで

出先で倒れ

そのまま救急搬送

心肺停止状態だった・・・・と

 

 

 

 

 

彼女は夫につたえられたのかなあ

ご主人は大丈夫かなあ

 

 

もう知ることもできない

 

 

生きる努力も旅立ちの準備も

人間には必要なのだ、と

思い知らされる

 

 

予期せぬ死

 

コロナ禍だからこそ

 

そのために家族が親しい人が

困らないように

伝えておくこと

 

自分は最期どうしたい?

回復しないとわかったら

どうしたい?

どうしてほしくない?

 

 

つたえておかないと

いけないね

 

 

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大根再掲

昨日紹介させていただいた患者さんが

大切に育てていたもの

 

それを家族がついで

大切にしていた

 

いただいたの

 

ぶり大根ふろふき大根

豚汁

 

各種料理をつくり

愛情たっぷりの大根

 

おいしかった

 

感謝をつたえたくて

のせました(;^^)