患者さんの娘さんに
そう言われたことがあります


これほどこたえる言葉は
なかった

慣れることはないです

慣れることはないけど


そう感じさせてしまった何かが
あったのかもしれないこと


それについて

考えないといけない
そう考えました

娘さんに
お話してみよう

そう思い夕方にゆっくり
時間をとり、
お部屋に伺った

患者さんは
乳がん、肺がんのサバイバー
80を超えたときに
大腸がんが見つかった


「手術も入院もしたくない」

そう話す患者さんを
家族は支える決意をした

数ヶ月経過
幸い腸閉塞にもならず
おだやかに過ごした


が、脳梗塞を生じ
救急搬送
そのまま緩和ケア病棟に
入院


意識の回復は難しく
でも患者さんは
おだやかに
休まれていた


ように、私達は
感じていた

そう
その意識の変化を
病による変化ととらえ

いや、それは医学的に当然の判断なのだけど


“仕方がない”こと

悲しいけれど

“仕方がない”ことと
とらえすぎていたのかも


家族は
急にはなせなくなり
いくら、辛そうではないとはいえ

つらいって言っていても
会話ができるように
そう期待していたのだ

無理とはわかっていても
希望を持っていた



そのことへの

配慮がたりなかった


これ、という言葉でもなく
これ、ということでもない


娘さんと1時間も話しただろうか


ただただうなずいていた

言い訳はしたくない



精一杯やっていたはず

でも



もっともっと

研鑽をつみます

これからの期間安心してすごして頂けるよう

努力します、と伝えて部屋をでた




涙がでた


なぜ涙がでたのか
わからない


何かにふれた、そんな記憶がある



時々思い返す


だれのための医療か、を


でも


死に慣れることはない


常に悲しみを感じ
救えなかったことに詫び
虚しさに襲われる


それでも、前を向くよ
それが私の使命とおもえるまでね


死に慣れることがないから
いつもこう考える