胃のGIST
GISTは、消化管間質腫瘍
GastrointestinalStromalTumor
稀少がん
10万人に1〜2人と
いわれています
この腫瘍は通常の胃がんとは
ことなり
粘膜下の筋層の間に塊の様に
拡がっていきます
がんではありませんが
悪性ではあり
決して
がんではないことに安心はできません
逆に
がんと同じように
経過観察や
場合によっては遺伝子解析などで
先手に対応できるのも同じです
抗がん剤に類似した
お薬もあります
その患者さんは20代最後の年に
腹痛で救急搬送されたときに
その病が発覚しました
すぐに緊急手術
その時は経過良好した
薬を服用しながら
経過観察
幾度かの再発のたびに
手術を行い、その都度回復
私が出会ったのは彼が34歳の時でした
痛みがとれない、とのことで
外科医から紹介をうけました
“多分緩和には少し抵抗があるかも
しれません”
と連絡内容には記載があったので
そうかもしれないな、と思う気持ちで
お会いしました
会ってみるとイケメンの好青年
“緩和”についても
「え?なんで?だって痛いんだもん。
〇〇先生の薬じゃ効かないからさ」
「そういう痛みとか心の痛みとか
とってくれるんでしょ?」
お〜
なんて、すばらしい
抵抗なんてないじゃん!!
抵抗があるのは〇〇先生じゃん!!
痛みは少しずつ調整
改善していきます
そんな彼は
みんなの力になりたいと、話される
「この年でこういう病気になるとさ」
「みんなかわいそう、っていう目で
みてくるの」
「かわいそうっていわれたってさ
しかたないよね。好きでなったわけじゃないし」
「かわいそうだとするなら
両親だよ」
「ぼくのほうが先に死ぬからね」
「なんとしても生きてやるって
思ってるよ」
「そしてその生き方が
きっとみんなの力になるんだよ」
「痛みがこうやってとれてくるの
うれしいよね」
「先生はさあ、僕を病人を診るような顔で
みていないんだよね。それがいい」
「大丈夫。治らないのも分かってるから」
「でも生きなきゃだもん」
「子どもにもお父さんでいてやりたいし」
だんだんとからだがつらくなった
あまりなきごとを言わない彼が
「きついなあ・・・」
「このきもちをなんとかする薬ある?」
「不安でねむれないんだ・・・」
「こんな気持ちはじめて・・・」
と弱音を吐いた
不安をとるため、食欲もすこしだすことを
期待して薬の調整をおこなった
これが効いて、また元気になった
身体は元気じゃないけど
こころが元気になった
「これが緩和ケアだよね」
「〇〇先生に言ったら、仕方がないよね
病気があるから。ってさ」
先生すごいよ、とおだててくださる
いよいよの時まで
彼は闘った
かっこよかった
その生き様は
家族に私達に力を
そして生きる事の大切さ
緩和ケアがあきらめでないことの
ゆるぎない証拠
35歳の誕生日を迎える少し前に
闘い方をかえるために
緩和ケア病棟にいく、と自ら宣言
緩和ケア病棟で誕生日を迎えた
盛大に祝った
その後少しずつ具合が悪くなり
家族に見守られながら
旅立った
あなたの遺した軌跡は
いまもみんなに勇気と力を
与えてくれる
また会えるよね、と
話したあの日を私も忘れない
どう?いまもおしゃれしてますか?
かっこよく私達をみまもってね
これは今も宝にしている彼からの書