肺がんが疑われた患者さん

Stage4の疑い


検査をしたとしても
治療はできないかもしれない

やれないことはない
でもかなりのリスク
抗がん剤の副作用で
亡くなるかもしれない


患者さんは
検査や治療をうけることに
迷いがあった

うけたくない、けれど
うけないと家族に迷惑が
かかるのではないか、と
心配で
自分で決めてしまってよいのか
と、迷っていた


「あと2か月くらいの命だってきいた」
「しかたがないよね。体力ないもん」
「少しでも今のまま過ごしたい」
「家族のために、ね」


妻はそれまでだまーって話をきいていたが
「あなたがいいと思う方がいい」
「わたしがきめて、もしものことが
あったら、私死んでも死に切れない」
「わたしはね、あなたにつらい思いを
してほしくないだけ」
「自分で決めていいのよ」


患者さんはしばし沈黙

「やりたくない。いのちの限界も
知ったしね」
「だから、やりたくない」
「逃げることになる?」


逃げることではない
何を大事にするか、考えたとき
大事な治療は何か
闘う医療ばかりではない

大事にしたいことは?と
尋ねると

「妻と一緒にいたい」
「今ぐらいで家にいたい」

妻も

「わたしは苦しんでほしくない」
「一緒にいたいもの」


お互いが思いやる気持ち


素敵なご夫婦の歴史が
あるのでしょう


「最期まで付き合ってくれますか?」


もちろん、と答えました

それが緩和ケア
それが伴走するということ


少し肩の荷がおりました、と
診察室をでられました


照れ


なんだか
コロナがちかづいている

面会

何よりもの薬なのに