ある薬剤師さんから

頭頸部癌の患者さん(放射線治療、

化学療法中)について相談がありました

 

“苦しいって訴えるけど

苦しそうではない。血中の酸素濃度は

悪くないのに、苦しいという”

”本当は苦しくないけれど

麻薬の依存になっているのではないか?”

”がまんさせたほうがいいと思います”

 

がっくり_| ̄|○

 

まだまだ医療用麻薬の誤解って

医療者側にあるんだな

ということに_| ̄|○

 

患者さんの主観的な訴えが大事で

先ずはそこを大事にすることが

重要なのにと

耳にタコができるくらい伝えているのに

伝わっていないことに_| ̄|○

 

この患者さんは気道圧迫もあって

頸部の腫脹もあって

圧迫感ははんぱなく強い

酸素化は気管切開で保たれている

痛みも強いし、頸部から頭部にかけての

強い圧迫感でつらくてつらくて

それでも上記のように

がんだから、我慢できるはず

と、苦痛を放置された症例

 

使いすぎかどうか、依存かどうか

先ずは患者さんの訴えに

しっかり耳を傾けて欲しい

 

依存って・・・・

 

患者さんに失礼だと思わない?

がんばって治療をして

薬で少しでも症状を和らげようと

していること

医療者に頼ってくれること

ありがたいことじゃない?

 

依存という前に

さっきお薬つかったけど

楽になりましたか?

ときくだけでいい

 

ちなみに1日3回追加するくらい

ちっとも量も多くない

 

先ずは症状を診ていって欲しいことを

久しぶりに

熱く伝えてしまいました

(あとで相棒看護師さんに

ああいう言い方は怖いしよくないですよ、と

イエローカードがでました。

レッドカードじゃない?のかな)

 

 

医療用麻薬について復習です

痛みについては効果があるということ

適正に使えば怖い薬ではないことを

おさらいです

 

腎機能の低下している患者さんでも

むしろ一般的な解熱鎮痛薬より

体調自体に影響を及ぼすことは

ない安全なくすり、とも言えます

 

痛みに加えてです

呼吸困難感、呼吸苦にも

医療用麻薬は効果を発揮します

ですので、心不全の終末期の呼吸苦

慢性肺疾患の呼吸苦などにも

使用しますし(例えば咳止めの

市販のものでもコデイン混合のものは

こういうことですね)。

がん領域でも呼吸困難感などに有効に

使用できることが多く

呼吸苦のあるときにも

使用できるようにすることが

多くあります

 

そしてここから先も伝えます

麻薬はさいごのくすりではないですよ

いまは慢性疼痛でも麻薬を使うことが

できますので、

悪性疾患でなくても医療用麻薬を

使用することはあります

(整形外科領域とか)

 

がんの治療においては

癌の進行具合に関わらず

痛みや症状があれば

使用して、治療をうけられるように

したほうがいいです

 

そしてがんの治療に伴い

これらの症状が軽減すれば

だんだん減らし、

中止していくことだってあります

 

もちろん

正しく使うための

医療者の理解は必要ですよ

(また,熱くなりそう、あぶないあぶない)

 

 

患者さんの訴えに耳をかたむけて

それに対して薬の効果があるかを

医療者は感情でなく

冷静に判断して

医療用麻薬に対して過度に不安を

もたないでください

 

患者さん、患者さんの家族にも

きちんと薬を使用し

それによって

快適な暮らしをすることを奪う権利は

だれにもないです

痛いけど、薬が怖いから

がまんして、って言う方も多くあるけど

その人生がつらいことで

なにかできないことがあるのなら

 

そのしたいことのために

例えば

お弁当をつくる、家族のために家事をする

子どものために仕事をする

孫とあそぶ

そのために痛みをとったらいいじゃない?

 

緩和ケアは最後の医療じゃなくて

症状緩和ケアだから

 

イメージをかえていきたいね

image

 

      痛いのはいやです

       痛みや呼吸苦などの身体症状は

       患者さんの訴えを大事に

       人がみてどう思うか、ではない

       痛くなさそうと思っても

       客観的に判断して、そこに根拠があるなら

       患者さんをしっかり診察し、観察して

       薬の効果を確認していけばいいだけのこと

       

       高脂血症や高血圧の薬などなど

       薬はなんでも副作用があるんだけどな

       市販薬だって同じよっていつも伝えます