こういう仕事をしていると
時々、薬のこと、治療のこと
がんにまつわることじゃなくても、
質問されることがあります

医師になったばかりの頃は、何でも答えないと
いけない、という
意味も根拠もない、責任感といえばそうだけど
そういう気持ちで、一生懸命答えていた

でも、結果無責任だったのだろう

失敗談を一つ
親戚の叔父から電話がありました
「薬が多くてさ、やめてもいいかな?十種類以上あるよ。まあ、いまでも時々飲むのを忘れちゃうけどさ」

その頃の私はこう話してしまった
「飲まなくてもいいなら飲まなくていいと思う。
数が多くて、と相談したら?」

電話を切ってから気づいた。
あれ?なんの薬を飲んでるんだろ?
何の病気?
でも、なんだか電話をかけなおすことは
ためらわれて、ま、いっか、とやり過ごした


あしあとあしあとあしあと

約1ヶ月、叔父は高血糖で入院しました
従兄弟によると、薬をあの電話以来
やめてしまい、そうなるとかかりつけ医に
行く必要もなくなり、病院に行かなくなったそう

わー、しまったー
なんていい加減なことを言ってしまったんだろう

幸い大事には至らなかったけど
以来
反省、気をつけています

その患者さんに必要な薬は、きちんと
その患者さんのコミュニティで守られている
まずは、かかりつけの先生にきいたら?
看護師さんにきいてみたら?

がん診療でもよくあります

患者さんや家族は
つらいことを聞くと、どうしても否認したい心理になる。いい事を言ってくれるひとを探す

心が弱いわけでもない
自分の心をまもるための自然な防御規制

だからこそ
医療者はそれを理解して寄り添うことが
求められる

そうではない、と信じたいけど
化学療法や放射線治療に納得がいかない患者さんの
心や気持ちにつけこむような
高額な治療を売りにする医療機関もめにはいる

いかにも負担がなく、効果があるような
でも自費診療の高額な治療を検討したいときは
まず主治医、もしくは看護師さん、がん相談センターなどに聞いてみるとよいと思います

納得がいき、患者さん、家族も
附に落ちたのであれば、いま通っている病院に
伝えてから、にした方がいい



治らない、と言われるとつらい
逃げたくなる

でも

一つの選択しか
人間はできない。

日本はがん拠点病院であれば
標準治療は同じように受けられる

まずは、あなたの身近な医療コミュニティを
信じてください

セカンドオピニオンも行って、同じ医療が
受けられるとわかったら、家の近くが通いやすい

患者さんの遠方の方へ
患者さんやその家族から話をきいたら
まず
「主治医の先生はなんて言ってるの?」ときいてみてください

信頼関係が、良好なコミュニケーションが
最大の効果を生み出します

考え中
ひとの意見は大事だけど
ユーカリが好き