50代女性の胃がんの患者さんが
診断されたときに、相談をしたい、と
緩和ケア外来に紹介されました

肝転移、リンパ節転移があり、癌性腹膜炎も
みられる

化学療法の提案がなされました

患者さん本人は
実の母が子宮がんで抗がん剤をしているときに
とてもつらそうだったとのことで
化学療法に乗り気ではなく

でもご主人、お子さん達は
なんとしても治療を、うけてほしい
やれることがあるのに、何もしないなんて
考えられない

「私は、化学療法をうけたくありません。
治ることはないでしょ?つらい副作用も
あと10年生きられる、というなら
頑張れる。ほんとは受けたくない。
動ける間に動きたいんです」
「でも、主人や子供は、ちがいます。
できることがあるのに、治療うけてほしい
と、いうんです」
「副作用でつらくなって、母のように
まわりにあたりたくないんです
家族の迷惑になりたくない」

あしあとあしあとあしあと

基本的には本人の意志が尊重されます

でも、家族は第二の患者

家族はときに、孤独です
患者さんと意見が異なるとき
患者さんが話せなくなり、推定意思を
考えないといけないとき
つらい選択を本人のかわりに
しないといけないとき

患者さんには医療者がついていますが
家族にはそれはない
だからこそ、私達は家族にも配慮が必要なんです。

彼女には、一度ご家族と来院してほしいことを
伝えました。
3日後、夫とともに来院されました

患者さんは第一声

「私、家族のために抗がん剤治療をうけます」

続きます


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