がん治療中も治療していないときも

患者さんと家族は食べることについて、よく葛藤します。

「食べなきゃ、でも食べられない。」
「食べようと思うと、きもちがわるくなる」

食べることに対しての思いは
人それぞれ。生まれ育った環境や文化によっても
異なります

胃がんのStage4 化学療法の副作用で抗がん剤治療は一旦お休み中の30代女性。

なかなか食べられなくて、でも、周りに食べなさい食べなさい、と言われて、その栄養の問題で、緩和ケアチームに紹介がありました。緩和ケアチームには栄養士さんもいるので、栄養サポートをしてくださいます。

「食べなきゃいけないのはわかるけど。食べられないもん。気持ち悪いし」
「もともと1日一食だった。朝ご飯なんて、たべたことないよ」
「アイスならたべられるかなぁ」
「みんなに食べた量とか聞かれるから、うるさいって喧嘩になっちゃう」

もともと食が細い、その上病気もかさなってますます
食べられない。

採血ではアルブミンも総蛋白もすこし低下くらい
よし、まだ頑張れる

食べられるものをさがすことにしました
そして口腔内の観察もあわせて

口の中が清掃不十分で、食べられないこともある
歯科衛生士さんにも協力をあおぎました。

アイス、高カロリーの栄養ドリンク
氷 果物

少し冷めた麺類

色々工夫しました。

家族とも話し合いました。
食べられないことはいまの体調から考えると自然

無理をせずに食べられる範囲を見守る

母親は自身の父、本人からみた祖父が
食べられなくなって亡くなったことを覚えていて

娘さんもそうなるのではないか、と
不安で仕方がない

あしあとあしあとあしあと

動物はみんな最後食べられなくなる。
これは避けられない

でもいまはまだその時期ではないことを伝えました

また、食べたくても食べられない、食べなきゃとおもっていることも伝えました。

「そうか。喧嘩してもお互いに嫌な気持ちになる。
大事な時間を喧嘩で過ごしたくない」

「これからは食べられる量を見守ります」

あしあとあしあとあしあと

家族は心配なんです。ただただ心配

医療者はその間にはいり、
患者さんの食べたくても食べられない気持ち


家族の
食べられないのはわかっているけど
食べてほしい気持ち


配慮し、できるだけの工夫をする努力を
怠らないこと

食べられないなら、食べなくていい、というのとは
違います
本人を見守りながら
本人にとっての最大限の利益を考える


食べられなくてもいい
食べられるものをさがすね