患者さんの立場で前回は考えました。

こんどは家族の立場から。

40代の胃癌の男性。食欲不振が続いたけれど、まあ、疲れだろう、と経過観察。やせてきたのを妻が心配して無理やり病院につれていき、発覚。診断時に、スキルス胃癌、腹膜播種、癌性腹膜炎の診断でした。

本人には家族の希望で、病名のみ。
家族には、治療をして効果があれば一年くらい、効果がなければ、半年未満と、伝えられました。

消化器科の先生は緩和ケアチームに連絡をくださいました。痛みも強かったから、です。
緩和ケアチームって、負担かなぁと看護師さんと恐る恐る伺うと、

「あー聞いたことありますよ。がんと診断されたら、ってみたことあります」
「がんねー、親父もだったから、なんか怖くて。まあ、治療をすればなんとかなるでしょう」
「あーでもあとどれくらい、生きられますかねぇ」

あしあとあしあとあしあと

どうして、患者さんはこんなにしっかりしているのに
伝えないのかな?少し気になりました。
妻は父親を同じ病気で亡くしているから
伝えたくない、と話されたそうです。

そっか
緩和ケアチームは、基本的に主治医の先生を
かげながら支援するチームです。

主治医の先生に直接、相談してみました。

(患者さん、なんかこれからのこと、しりたがってました。どうしましょう?)

「そうかなぁ。奥さん伝えたくないみたいだから、やめます。言わない方がいいでしょ?」

そうかもしれないし、そうかもじゃないかもしれない

緩和ケアチームとしては、本人がどうしたいかをまず確認すべきではないか、と思いましたが、ひとまずは見守ることにしました。

あしあとあしあとあしあと

化学療法がはじまり、副作用もでました。
予想外の副作用も生じました。
思ったより、つらく、なんで、なんでこんなことに、と悔し涙もみられました。

ある日
「なんでさぁ、こんなに頑張ってるのに、食べられるようにならないの?あと5年生きれるって言われたよ。でも、こんなんじゃとても無理だ」
「先生達は、嘘ついてるよ、きっと。だって全然よくならないもの、わかるよ、自分の身体だから」

別の日
緩和ケアチーム看護師が伺いました
「医者はうそをつく。教えてほしい」
と話された、と聞きました。

一度妻にきいてみよう、それでも伝えたくないかを、ということを、となりました。

家族は、どうして伝えたくないか
色々な理由があることが多いです。

患者さんは日に日に容態も変化していました。

続きます


コーヒーの好きな患者さんでした