がんは2人に1人がなる時代。
子育て世代や働く世代の患者さんも多くいらっしゃいます。

みなさんまよわれる。

もちろん正解はなく、おかれている環境にもよるでしょう。子育て中の患者さんが話されていた言葉が思い出されます。

40代の女性患者さん。盲腸癌。消化器内科から手術目的で外科に紹介されたけど、手術で取り切るのは難しくて、抗がん剤の治療メインに行われました。

当時まだ、お子さんは未就学児でした。そもそも、病気の告知を受け止めるのに必死。当然です。今までの生活が一変するんですから。
落ち込みとこれからの過ごし方に迷い、外科医師から連絡をいただきました。

「残念だけどいずれは抗がん剤が効かなくなる。はやめに支援してあげてほしい」

病室に伺いました。

涙がとまらない。しばらくしてポツポツと…

「手術したらなおると思った。どうしよう。子供にも。親にも。言えない…」
「幼稚園の送り迎えのとき、なんて言えばいい?」
「職場にも、いわなきゃいけないけど、いいたくない」

とにかく涙が止まるまで、耳をかたむけました。わかる、なんて言えない。ただそこに一緒にいるだけ。

一緒に考えさせて、と伝えました。

まわりにいう、いわない、は決まりもないし、いわなくてもいいしいってもいい。

なぜいいたくないか、については
○過剰に特別扱いはいやだから
○ふつうに接してほしいから
○こどもや親には心配かけたくないから

いわなきゃいけない、については
○治療で送り迎えができないと、何で?となる。勘ぐられるのはいや
○ある程度病気のことを知ってもらいたいから
○こどもには知ってもらわないと、ともおもうから

まだ元気で時間もある、と思い、次の外来で
かんがえよう、となりました。

「ありがとうございます。すこしまとまりそう。
でも命はあっけないですね。こどもの成人式どころか、入学式もみられない。こんなことならこどもをうまなければよかったとさえ思ってました。すこし話して気が楽になりました」

ちょっとは今夜は眠れる?とききながら、お部屋をあとにしました。
みなさんだったら、どうしますか?伝える?伝えない?

ひなまつりがおわりました。来年また❤️365日も1日1日の積み重ね