子宮がんの患者さんは当然女性です。
比較的若い患者さんも多いので、生活とのバランスに工夫が必要になることが多いです。

50代の子宮頸部腺癌の患者さん。仕事と家事と育児のバランスに悩んでいました。
治療もセカンドラインの効果判定後、あまり効果がないと告げられ、何も手につかない、と緩和ケア外来を、受診されました。

とにかく涙がとまらない。
「腎臓がひとつ機能しなくなってるって。どうして?」
「今まで治療やってきて、なんで効果がないの?」
「もうやだ…涙」

とにかく涙がとまらない。

どうしたものか。何も話したくないだろうなぁ、としばらくそばにいました。

5分くらいたったころ
「私もう少し生きたい」
「ムスコの結婚式でたい」

腎瘻処置を相談されていたのでした。
それが必要かどうか、より、結婚式が気がかりだった。着物を着たかった。

彼女の思いを聞き、泌尿器科、婦人科両者の医師に相談しました。今すぐでなくともよいことなど。

私達緩和ケアの役割は、橋渡しと考えています。
患者さんの治療ではない、治療以外の面を探索し、できるだけ治療医と患者さんの思いをすりあわせる。

そんなことって思われることもある。でも、患者さんにとっては生きるのに大事なこと。

腎瘻処置は結婚式後でもよいことや、場合によっては
ひとつの腎臓でもやっていけるのではないか、とみんなで話し合いました。抗がん剤のメニューも変更よていとなったけどまずは一ヶ月後の結婚式の参加を目標に。副作用なくいけるようみんなで。

結婚式後

「よかった。ありがとう。あの時勇気を出してはなしてよかった。治療をずらしてほしい、なんて行ったら
嫌われると思ったの」
これからはなんでもはなすね、と笑顔。

治療以外を支える。これも治療に大事なんですよね。
みなさん、主治医にはなせてますか?きもち。

このマークのバッジ。緩和ケアチームのメンバー。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー