絵の具を買いに、吉祥寺のユザワヤに行く。

閉店間際なので、売場はスカスカ、荒れている。
いつも、ここに来て思うのは、以前、働いていた画材屋のことだ。

担当する筆を、自分の子供のように愛してやまない爆乳美人な先輩。

絶妙な発注なるものを、半ば拳で教えてくれた店長(高額のエアブラシの発注をしくじったときには恐怖したっけ…)

50号のカンバスを小走りにレジまで運んでいるとき、風を受けたばかりに、凧のようにひるがえって、売場を歩いていたお客の顔面に直撃させてしまったこと…

好きなものに囲まれて、仕事がしたいと思うのは人情だ、が、その一心で仕事を続けられるとしたら、よっぽど、鈍感だと思う。

画材屋で確実に粗利を得るのは、Drグリップやポスカといった、ステーショナリーの類いだ。

店としては、筆が一本売れるよりも、ボールペンが10本売れた方が良い。

画材屋なのに、本末転倒だが、これが現実だ。
前職で婦人服を売っていた店長と衝突した。

画材屋なのに、画材に対する愛情がかんじられない!!

今にして思えば、若かった。極端にいえば、給料の半分はボールペンを売った金なのに…。

結局、人事部長に、退職願いの文面が、過去最高の名文だったと皮肉られて、辞めた。

好きなこと、やりたいことを続けたければ、たとえ、貧しくなろうとも、自力でやらなければならないことを、知った。


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(無名ライダース 死と再生)