本澤二郎の「日本の風景」(5166)

<よそ者?塩谷立を排除した清和会元老・森喜朗と萩生田光一>

自民党派閥は、戦前派の右翼派閥ほど血筋を重視する。安倍・清和会の裏金事件発覚で安倍悪政に辟易していた世論を背にして、清和会は崩壊の危機にある。そこで元老格の車いすの森喜朗が、安倍直系の萩生田と、さらに岸信介以来、派閥の黒幕である笹川ギャンブル財団と連携して、よそ者の塩谷立に詰め腹を切らせた。(このくだりで記事が消える)筆者の分析であるが、岸田は受け入れざるを得なかった。やくざ暴力団の手口と比べても頷ける裁断だった。

 

森は創価学会公明党に負けない神道(シントウ)・神の国信者で知られる。神道のお告げに従ったものか定かではないが、神がかりの世界だと、あるいは起こりうることかもしれない。むろん、安倍晋三や配下の萩生田もそうだった。岸信介や笹川良一らが支援した、日本制圧のための資金集めに狂奔してきた韓国のカルト教団・統一教会も、「神」を持ち出す宗教で知られる。一般人には不気味な天皇教の世界と明かす識者も少なくない。

 

<岸田文雄はこわい笹川ギャンブル財団に抵抗不能> 

森喜朗は自身の正当化を、例によって右翼言論の代表である「文藝春秋」で図った。しかし、それに 世論は納得しない。1955年の保守合同以来、岸・福田・安倍の黒幕的存在として君臨してきたこわい笹川ギャンブル財団が、森の背後に控えていることに気付いている。

 

岸田とて手を出せない。森との電話会談を誤魔化すしかない。以前、駆け出し記者は宏池会職員が「うちには右翼やくざ暴力団は影も形もない」と豪語していたことに満足した。反対に、この手の悪魔がこびりついている福田派や中曽根派に対して、距離をもって取材する覚悟で対応したものである。

派閥の広報宣伝記者を振り払うため、当時進歩的な週刊誌「朝日ジャーナル」を買って読んでいた。したがって、平和主義を重視する三木派や大平派の宏池会に愛着を抱いてゆく。

この点では、児玉誉士夫や岸、笹川、大野伴睦、中曽根康弘という右翼戦前派に、好んで足を踏み入れた読売の渡辺恒雄とは、真逆のスタンスを選択しながら取材活動をしてきた、と現在でも自負している。

 

したがって運輸省、現在の国交省の巨大利権の公営ギャンブルの一つである競艇ギャンブルを笹川が独占していることなど、ほとんど気付かないまま、今日を迎えてしまった。それでも岸・福田・安倍と共闘してきている笹川ギャンブル財団の様子は、垣間見ることはできた。森喜朗事務所が笹川ギャンブル財団のビルにあることは、最近になるまで知らなかった。

 

<国士・塩谷一夫は三木武夫と共にあったのだが>

自民党救済策のために生贄にされた塩谷立・清和会座長についていうと、萩生田・世耕・西村・下村・高木と比べると、安倍晋三との思想的距離感がある。「悪党の中ではやや善人」の印象を受ける。それは父親の一夫の信念からだ。

 

自民党議員でありながら、自民党の腐敗に断固として批判を加えてきたナベツネの恩師・宇都宮徳馬は別格だとしても、改憲軍拡に対して厳しい態度で臨んだ三木武夫。その三木派幹部として、一夫の政治行動は怯むようなことはなかった。彼の事務所に飛び込んだことはなかったが、よく国会の薄暗い廊下で、記者に呼び止められると、穏健なしゃべり口で正論を吐いていた様子が今も脳裏をよぎる。三木直系には小沢一郎と対峙した志賀節も知られている。彼は晩年はファシズム研究に時間を割いていた。安倍の極右路線にSOSを発していた勇敢な政治家だった。夫人は政界一の美人でも有名だった。品川で次男・正文の介護生活に徹していたころも、よく夫妻から電話が入り、蒲田の駅ビルの食堂で、軽食を取りながら政局談議に花を咲かせた。その都度、夫妻から「坊ちゃんの様子はいかが」と声をかけられるのがつらかった。東芝病院での重過失死を知らせる機会はなかったのだが。

三木派のたった一人の右翼議員は、弁護士資格のある高村正彦で、晩年は安倍に従って副総裁を歴任している。彼は統一教会の顧問弁護士。この秘事を知らせてくれたのは志賀。志賀に伝えた人物は佐藤栄作の倅・信二だった。

 

塩谷一夫は三木派が河本敏夫派に移行した時点で無派閥になり、その後に安倍晋太郎派に所属する。この選択が今回の息子の悲劇を生んでしまった。立もあろうことか安倍・清和会に所属して、今回の裏金事件について座長として詰め腹を切らされるのだから。

せめて下村のように「森追及」をしないのか。泉下で父親が涙を流しているだろうが、三木派後継の河本派に入らなかったことが遠因である。三木派を抜け出したことが災いの元だった。倅は安倍晋三と行動を共にして墓穴を掘ってしまった。

すべてを文藝春秋で暴露すれば、主権者は喜ぶのだが、肝心の文藝春秋が紙面を提供しない?

立は5月13日民放のBS番組で森の切腹要請について「そういう話は伺いました」とあっさり話し、詳細は胸に収めてしまった。ひ弱な二世を標的にした森と萩生田か。政界遊泳術は運命的なのか。

2024年5月16日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員・やくざ暴力団追放国民会議呼びかけ人)

 

<女性も外国人も安心して日本で暮らせない!>=やくざ暴力団追放国民会議>

(東京新聞)新たな制度では、税金や社会保険料を滞納した場合や在留カードの不携帯なども取り消し対象になりうる。移住連には永住資格を持つ外国人から、「安心して日本に住めなくなる」などの声が多数寄せられているという。法案は週内にも衆院法務委員会で与党の賛成多数で可決される見通しとなっている。(池尾伸一)