本澤二郎の「日本の風景」(5160)

<参院選で安倍の陣中見舞い100万円スクープは立派>

2013年の参院選(安倍内閣)において首相が応援に入った時、候補者に100万円を渡していたことを当事者が認め、それが安倍の政治団体と候補者の政治資金収支報告書に記載されていなかった!そのことを5月9日付の中国新聞が見事にすっぱ抜いた。日本記者クラブ賞間違いないであろう。これも闇裏金の一例である。岸田首相にも同様の疑惑が浮上することになる。むろん、歴代の首相応援についてもいえる。

 

<底知れぬ闇資金の安倍・清和会暴く=中国新聞健闘> 

早くも安倍・清和会の新グループ結成の動きが表面化した。安倍・清和会政治屋は、反省も謝罪もいい加減であることを裏付けているのだが、6月総選挙に慌てふためいて、再び結束を図ろうとする野合に世論の反発必至だ。

岸信介を始祖とする改憲派の安倍・清和会と吉田茂の民意重視?の護憲リベラルの自民党の攻防戦は、後者が屈服する形で決着したことによって、主権者である国民との乖離は天と地の開きが出ている。

 

ワシントンもドル暴落の危機のもとで、異常な物価高が継続し、現職のバイデンの旗色は悪い。再び暴走好きのトランプ政権が誕生するとどうなるか。日本もまたアベノミクスによる円激安政策の強行で、国民は物価や野菜の急騰にいらだって、遂に自公体制打倒に動いている。日米とも崩壊へと似た者同士と言えなくもない。

 

筆者は円安へと暴走する黒田・日銀と、続く植田・日銀の円激安政策に対して、国民目線から厳しく批判してきたが、いまや国民の怒りは政権交代へと動き出してきた。

目下の政治改革の本丸は、一つは企業団体からの献金を止めることに尽きる。これなくして「国民のための政治」は実現しない。同時に、不浄不見識な輩にもバッジが付けられる、小選挙区比例代表制を即刻廃止することである。強く強く指摘しておきたい。国民のための政治という、当たり前の民主主義を復活させることが、天の声なのだから。

 

<岸田の二度の島根応援は100万円+α=血税の官房機密費>

中国新聞のスクープは、2013年の参院選の例だが、100万円を受け取った政治屋の証言と、政治資金収支報告書に届け出をしなかったことを確認、そのうえで安倍晋三の政治資金団体にも、届け出の記載がないことを確認したうえで、堂々と報じたものである。昭恵も忙しくなるだろう。

 

選挙における首相応援は、子供の使いではない。大金が応援する候補に手渡される。中国新聞は、政治記者のすべてが見過ごしてきた闇の裏金を、はっきりと国民の前にさらけ出してくれた。さすがは中国新聞である。千葉日報など県政におもねる新聞とは格が違う。日本新聞協会賞を出してもいい報道内容である。

 

先の参院補選では、岸田は二度も島根に飛び込んでいる。「あと一歩」との自民党選対の要請に応えたものであろう。大金を運んでいる。2013年が100万円だとすると、2024年の超物価高であるため、200万円かそれ以上になるだろう。

 

<血税の官房機密費を徹底的に洗え>

野党は忙しくなった。ボケっとしていないで、岸田が島根に運んだ血税である官房機密費を暴いて日本国民に知らせる義務があろう。松野博一の疑惑も残っているだろう。

官房機密費は池田勇人内閣当時で30億円。当時の実力秘書官が自著で明らかにしている。

清和会の小泉純一郎が首相をしていたころ、彼のご意見番の松野頼三は「いまでは100億円はくだらないだろう」と語っていた。数十億円の単位ではない。メディアの大好きな「政治とカネ」の裏金の本丸である。新聞テレビは逃げてはいけない。

国民のために明らかにする政治責任を、政府も議会も裁判所も負っている!

 

<駆け出し記者1年生の思い出>

1972年に政治記者になって自民党本部と首相官邸に張り付いたのだが、駆け出し記者の当時の思い出の一つは、田中内閣下の参院選の首相遊説に同行した時のことである。確か九州の鹿児島で、自民党本部の経理担当者が真っ黒な大きなカバンを手にして、いつも手放そうとしなかったことである。彼が首相応援の際には、必ず同行し、黒い鞄をしっかり手に持っていたことが目に焼き付いている。その中身が1万円札でぎっしりと詰まっていたことに気付くのに数年かかった。

少なくとも1億円は入っている!それが官房機密費だと理解できるようになったのも大分時間がかかった。そのことについて、先輩記者も教えてくれなかったことも原因の一つだった。

そういえば、政治家の金については、遠くから覗く程度で、接近することはいやらしいことだと思い込んでいた。これが大失敗だった。政治はカネで動く。カネさえあれば、誰でも政治屋になれる世界だというのに。政治は闇の裏金で動いている!

2024年5月10日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)