私はフラれてからも尚、彼の事が好きだった。
好きだという気持ちが消えなくて、毎日彼をみるたびに想いが溢れてく。
彼と彼女の付き合いはとても順調で、休み明けになると、朝一緒に出勤してる姿も何度か目にしてしまっていた。
彼の家にまた泊まったんだ。。
彼女の幸せそうな笑顔を見るのは、私にとってとても残酷なことだった。
そんな状況が1年ほど続き、しばらくすると、彼の結婚の噂が流れた。
転勤も決まってはなかったけど、そろそろなんじゃないかって。
私は彼の結婚を見送る事も、突然私の前から消えてしまう事も、耐えられなかった。
自分が抜け殻になってしまうんじゃないかと思った。
そうなるくらいだったら、自分から彼の前から消えようと思い、それからしばらくして会社を辞めた。
辛かったけど、彼は、私が辞めて半年後、転勤を機に彼女と結婚してしまったらしい。
私の選択は、悲しいけど間違ってなかったんだと思った。
新しい会社に入った頃、私はまだハタチだった。
学生の頃まんまるだった顔も少しは引き締まり、化粧も上達していた為、男性ばかりの職場だったがまぁまぁ可愛がられていたと思う。
その頃には、男性に怯える事も全くなくなっていた。
彼氏も出来るようになっていた。
ただやはり、自分の全てをさらけ出す事は出来ず
、よく思われたいと、自分を演じていた。
そして、スッピンだけはどうしても見せる事が怖くて、見せられずにいた。
そうやって自分を演じているから、すぐに疲弊する。
だからいつも、長続きはしなかった。
同じ部署には私と同い年の女の子がいた。
私は事務として入ったのもあり、女性として扱われた。
彼女は男性と同じ仕事をしており、尚且つ田舎から出てきた為、化粧っ気や垢抜けた感じはなく、男っぽい性格をしていた。
ただ、性格はとても明るくて馴れ馴れしく、外へ行っても、誰かれ構わず、タメ口で話してしまうような子だった。
性格は明るくハキハキしていたし、彼女もそれなりに可愛がられてはいたが、私との扱いは全然違く、彼女もそれが不満なようだった。
入社して3ヶ月ほど経った頃、はじめて親会社や下請会社の人が集まる飲み会に呼ばれた。
下請会社は工事業者の為、職人気質の男性が多く、仕事中の電話のやりとりもぶっきらぼうな人もいて、会う前は何人かは苦手な人もいた。
飲み会に参加して、同じ部署の人が私を紹介してくれ、親会社や下請会社の男の人達はみんな優しく、こんなに若くて可愛かったんだね。と、ちやほやしてくれた。
飲み会中盤で下請会社の人達と会話をしている中で、「工事中に変な電話してくるから、どんな奴かと思ってたよー。冷たい態度とっちゃってごめんね。〇〇ちゃんがこんなに可愛い子って分かってたらもっと優しくしてたのに。今度からはいつでも電話かけて来てね。」とか、「〇〇ちゃんとは普段電話でしか関わりないもんね〜。同じ部署でも〇〇とはよく会うけど、あいつはノリは良いけどブスだからなぁ〜。〇〇ちゃんの方が良いな」など、飲み会の席での盛り上げ、社交辞令ももちろんあるって分かってるけど、その後明らかに、親会社の営業や下請会社の人で態度が変わった人は結構いたのも事実だった。
確かに対面で会った方が人として分かり合える事もあるし、お互いの仕事を理解する努力を、私は怠っていたのかもしれない。
でも、私には人として向き合ってもらえてる感覚はあまりなく、やはりそこは、下心のような、ニタニタした顔に見えた。下請会社にいたプレイボーイでイケメンの男の子に、口説かれたりもした。私はそれに対して調子に乗ったというより、むしろ怖かった。
やっぱり女は見た目が全てなんだ。
人ってこんなに態度が変わるんだ。
私をチヤホヤしてくれてる人達も、私が何も着飾らないで、ぼさぼさの髪にすっぴんで会ったら、こんなに優しくしてくれるのかな?
きっと手のひら返なんだろうな〜って。
私は余計に、仮面を被って生きていくしかないんだと、思った。