湊かなえさんの「母性」という小説を、読ませていただきました。

湊かなえさんは、わたしの大好きな小説家3人のうちのひとりです。

ちなみにあとのふたりは、有川浩さんと東野圭吾さんです。

新作が出るたびに購入するのですが、買ったそのときにきちんと読むかはまた別の話……。

案の定こちらの「母性」も、買ってからかなりの月日が経っています。

さて、この「母性」という物語、

わたしは、個人的には結構好きな作品でした。

さすが湊かなえさんというような、素晴らしい世界観と構成。

しかし、ミステリーという感じではなかったかな。

ミステリー好きなわたしですが、この小説にはその要素がなくてもいいと、読後に思いました。

物語は、章に分かれています。

さらに、1章は3つのパートに分かれています。

『母性について』

『母の手記』

『娘の回想』

この3つです。

ひとつめの『母性について』は、誰目線から描かれているのかが最後まで分からなかったです。

最後の最後、「あぁ!」というふうな感じ。

気付いた、というほうがいいかな。

あとのふたつは言葉のとおりなのですが……

個人的な話ですが、この物語に出てくる“母”は、わたしはあまり好きになれませんでした。

それもひとつのキャラなので、もちろん好き嫌いはあるのですが。

自分の非を認めつつ、どこかわざとらしい雰囲気が出てしまうこの方に、なかなか同情することはできなかった。

母親というのは、母性というのは、そういうものじゃないだろう。

読んでいながら、何度ももどかしい気持ちになりました。

そこは違う、そうじゃない。

そう思いながら読み進めていました。

一方の娘の方はというと、

こちらのほうが読みやすかった。

感覚が正常な分、感情移入しやすかったのだと思います。

正常、という言葉はあまり使うべきではありませんね。

この小説の紹介として、

「女性は、母性を求める者と与える者の、2種類に分けられる」

というような言葉があります。

読む前からなんとなく、意味は分かっていたつもりでした。

でも、読んでさらに納得。なるほど。

子どもを産むから母性が生まれるのではないんだ。

母性が備わっている人と備わっていない人といるんだ。

結構衝撃でした。

この小説を読んでいるときは、

「このような母親にはあまりなりたくないなぁ」

とか思っていましたが……

正直怖い。

この人が駄目だと言いたいわけではないけれど、

おそらくこのような母親だと、子どもは傷ついてしまうから。

母性とは何か、女性とは何かが分かる小説です。

特に女性に読んでほしい。

それで、きちんと考えてほしいですよね。