今回は、湊かなえさんの「高校入試」を読ませていただきました。


いやぁ…面白かった!

うん、面白かったですよ!

物語の構成は、湊かなえさんらしいなぁと思いました。

ただ、どう言う物語の進め方をしているのか掴むのに時間がかかってしまいました。

登場人物も若干多めですが、最初のページに相関図が記載されていたので、照らし合わせながら読めばそこまで難しいものではありませんでした。


登場人物で思ったのは、「自分の感情をむき出しにする」人物と、「冷静に物事を判断する」人物が綺麗に分かれているなと言うことですね。

その代表が、前者は坂本先生、後者は水野先生です。

他にもしれぞれちらほらと存在してます。

多分、この両者がいるから事件が複雑な方向に転がっていくのかなとも思いました。


一言に「高校入試」と言ってしまえばそれまでの言葉ですが、受け取る相手によって、その言葉の重みは変わります。

教師にとっては、年に一度の行事にすぎません。受験生ひとりひとりの合否を背負って行動しなければならないと言う責任はありますが、やはりそれも重く受け取るのは最初だけで、ベテランになってくるとそうでもないのかもしれません。

一方、入試を受ける側、受験生にとっては、一生に一度の大イベントです。それは、自分の学歴、人生が決まる一大事であり、進学校への受験となると尚更です。

そんな数々のいろんな思い、考え、記憶が錯綜し、偶然にもネットの中で出会い、繋がってしまったことが、この事件の発端なのかもしれません。


物語の中だとどうしても、「現実に起きたら怖いなぁ」程度で済まされてしまいます。「どうせ、フィクションの中の世界」だから。

もちろん、起きないことがベストです。しかし、匿名で発言をすることが出来る場所がネットの中で無数に存在することは確かです。匿名をいいことに、見知らぬ相手を誹謗中傷する人がいることも。


この物語では、事件の関係者が集ったのはネットの中の話です。同じように、事件を進めていったのも、大きく膨らませたのも、ネットです。

進化し続けるネット社会を考えると、やはり「フィクション」の一言で済まされないような物語なのかもしれないですね。