インフルエンザと糖尿病の関係 | 腎臓内科医のつぶやき

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気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

腎臓病と関係の深い糖尿病。
 
糖尿病では体の免疫力が低下していますので、さまざまな感染症にかかりやすく、重症化しやすいんです。

今日はインフルエンザと糖尿病の関係についてお話しします。
 


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世間を震撼させた新型インフルエンザウイルス(A/H1N12009)による死亡率は、海外と比較すると低かったと報告されています。
ただ感染しやすいため、重症化しやすい患者さんにとっては脅威です。

流行期を過ぎても検出され続けるこのウイルスに、引き続き万全の備えをする必要があります。
 


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糖尿病での感染しやすさは、免疫能の低下や血行障害の関与が考えられます。全身いたるところの感染症を引き起こしやすいんです。
 

 
2010年3月16日現在の報告では、
死亡者のうち何らかの基礎疾患(インフルエンザ以外の病気)を持っていた人は約70%でした。

そのうち糖尿病を持っていた人は約25%で、複数の慢性呼吸器疾患を含む呼吸器系基礎疾患を持っていた人:約26%とほぼ同じです。
 



糖尿病では、
呼吸器が悪い人と同じくらい呼吸器の病気に弱い、新型インフルエンザが重大な健康被害を引き起こす可能性が高いことが予想されますね。


 
 
 
では、インフルエンザにかからないようにするにはどうしたらいいでしょうか??
 



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まず一般的な感染予防行動予防接種発症予防が重要です。
 

 
 
『感染予防』では
 
①不要不急の外出をさけるイメージ 5
②外出時は不織性マスクを装用する
③症状のある人の2m以内に近づかないようにする
④流水と石鹸による手洗いや、アルコール含有消毒剤で
手を消毒する


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さらに適切な食事療法、運動療法、薬物療法による血糖コントロールの改善・維持が、発症・重症化予防に大切です。


 
 あと、部屋の空気の入れ替えをこまめに行うことや、加湿も大切ですよ!
 
 
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予防接種は、通常のインフルエンザ用ワクチンの中に新型インフルエンザ用ワクチンも入っています。
ワクチンで、すべての人を感染から守ることはできませんが、重症化や死亡を抑制できると考えられており、是非接種をおすすめします。



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またインフルエンザ感染後はさらに免疫能が低下するため、肺炎球菌性肺炎を発症しやすくなり、これがもとで命を落とすことも少なくありません。
 
 
肺炎球菌ワクチンの接種もおすすめします。
これは、初回接種から5年以上経過した際の再接種や、インフルエンザワクチンとの同時接種も認められています、
 
 
 
今年のインフルエンザ流行はおさまりつつありますが、まだまだ注意は必要です。
引き続き、予防に努めてくださいね!